2012年度の国民経済計算(GDP統計)によれば、2012年末の日本の国富は3000兆円だった。1969年末の国富は242兆円で、現在の統計とは連続性がないので正確な比較ではないが、消費者物価がこの間に約3.1倍に上昇していることなどを考慮しても、日本の国富は大幅に増加してきたと言える。
国富が増加していくという方向が大きく変わったのは、バブル景気が崩壊したことがきっかけだ。1980年代後半のバブル景気の時期に国富は急速に増加し1990年には3500兆円程度にまで達したが、バブル崩壊後は地価の下落から土地資産が減少し、国富は減少基調が続いてきた。
土地が生み出す利益が増えなくなった
バブル崩壊後に日本の国富が減少傾向にある原因は、土地資産が減少していることだが、日本の国土面積が縮小しているわけではないし、土地は建物や機械のように老朽化して使えなくなってしまうということもない。土地資産の減少は土地の価格である地価が下落していることによるものだ。
土地のような資産の価値を考える際の経済学の基本的な考え方は、資産の価値はその資産が将来生み出す価値の合計だという考え方だ。日本国内の土地資産の総額が、1994年末の1956兆円から2012年末には1143兆円に減少してしまったのは、1994年時点で考えていたほどには日本経済が成長せず、土地が生み出す利益が増えなかったためだ。
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