「平成のJ-POP」が令和時代に迎える変化の大波 音楽P・亀田誠治「ヒットの基準も変わる」
同時に、人工知能(AI)が音楽業界に大きな影響を与えることも予測される。音楽とテクノロジーのクリエーター同士がより密接なコラボをして、革新的な形で音楽が楽しめるようになるのかもしれない。
一例だが、Spotifyはすでに、機械学習によるレコメンドサービスを強化し、ユーザーを誘導しているという。AIを活用したデータ分析で、多様化する視聴者のニーズに合わせたサービスを提供し始めている。
「音楽を作る人間として危機感はもちろんあります。この先、日本国内では人口が減少して音楽を聴く若い人たちは減っていく。正直、AIができることはAIに任せたほうがいいと感じています。人間は余力を使ってなにか新しいことが見つけられたらいいですね。作品作りというクリエイティブは、人間がやることなので、労力を使うデータ分析などはAIを活用すればいいんですよね」
もちろん何が求められているかのニーズ分析ができれば、ヒットする可能性のある新人発掘などにも活用できるだろう。AI×音楽には大きな可能性を秘めている。亀田誠治は、また違った視点でAI時代の夜明けを捉えていた。
令和時代へ音楽人としての決意
「喜びも悲しみも“life is music”の言葉そのもの。音楽プロデューサーだからって世の中の人が憧れるような豪華な生活ではない」と苦笑する。
24時間365日、音楽のことしか考えていないと話した亀田誠治。音楽以外からインスピレーションを得たときは、それが自分の音楽作りにつながるように心の中でつねに考えている、そんな日常だという。
「1つのプロジェクトが終わっても、また次のプロジェクトが始まって結局、終わりがない。でも、つねに動き回っている日常で代謝が高まっているので、仕事に煮詰まることはないですね」
音楽プロデューサーとして求められる需要に応えたい気持ちが、大きなモチベーションになっているという。
「放っておけないという感じですかね。長男を育てているときに機関車トーマスのアニメを一緒に見ていたんですけれど、トーマスがいるソドー鉄道局長トップハム・ハット卿が機関車たちに向けて言う『誰かの役に立つ存在になってほしい』っていう言葉が大好きなんです。
自分も、役に立ちたい気持ちでアーティストと向き合って音楽を作っていて、僕の理念や考えが人のためになったらうれしいです」
亀田誠治は、平成の音楽業界の中で、ヒット曲(コンテンツ)を作り、日比谷音楽祭(プラットフォーム)の実行委員長もつとめるなど時代によって多様化する音楽業界の中で挑戦を続けてきた。
時代の舵取り役として全体のバランスを客観的に見つめながら新しい音楽を生み出してきた姿は、時には大胆に振り切る自身のベースプレイにも重なってみえる。それは、音楽人として本気で時代と向き合っている証しなのかもしれない。
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