「同世代」との再婚を望み始めた50代男性の心理 女性は若いほうがいいという固定観念に変化

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Tさんの職業は声優。実は、声優という職業は、女性の場合声に年齢が出やすいため、あまり長く続けられないことが多いのだそうです。Tさんは将来の不安を抱えながらの婚活で、6人目でAさんと出会いました。

当初、Tさんは、家柄や学歴など総合的に見て「自分にはレベルが高すぎる」と気後れしていました。が、Aさん、Tさんともアニメ好きという共通点があって趣味が合う。それに、彼女は明るく、謙虚で婚活に向けて減量するなど努力もしていました。私には2人はうまくいくという確信がありました。

60代で引退ではなく、80代まで頑張る

結局、結婚を決めた2人。最後に今までは60代で退職すると言っていたAさんが、「ハズキルーペを使って80代まで頑張ります」と言っていたのが印象的でした。奥さんがいることによって、旅行に行ったり、おいしいものを食べに行ったり2人で楽しもう、という欲望が出てきたということですよね。とても豊かな人生に感じます。

つい最近も、再婚希望の50歳男性Hさんがご成婚しました。Hさんも最初からはっきりと「子どもはいりません」と断言。Hさんは不妊治療の専門医。中年カップルが貯金をはたいて治療を重ね、精神的に参ってしまう様子を日々目の当たりにしています。

無論、価値観は人それぞれですが、Hさんの場合は「子どもをもうけるよりも夫婦2人で穏やかな人生を」と希望。Aさん、Hさんのように最初から子どもを希望されない方は珍しい存在とはいえ、以前と比べると最近ポツポツと現れるようになりました。

女性に若さを求めないことのメリットはいくつかあります。まず1つは、一緒に老いて痛みを理解してくれるという点。例えば、加齢による腰痛。同じ世代の女性であればその痛み、つらさを理解し、寄り添ってあげることができるでしょう。

しかし、若い女性であればその感覚が実感としてピンとこないので、「せっかくの休日、家でじっとしていないで一緒にどこかに出かけようよ」となるかもしれません。元気いっぱいな様子はほほ笑ましいものですが、毎日その調子だと疲れてしまうこともあるでしょう。

もう1つは、子どもを望まないと最初から決めておくことで、子育ての苦労が人生設計からはずれるという点。産む・産まないは夫婦の見解が違うと大きな溝になりますが、互いに「産まない」方針で一致しているのであればその心配もありません。子どもを持たないということは、2人だけで見つめ合っていられる。恋人で始まって、恋人のままともに老いていくことができるというわけです。

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