全国制覇のコメダ、地元名古屋での愛され方 「コーヒーを進化」させないと将来が厳しい

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そこまでいかなくても、今年春の選抜高校野球に出場して優勝した「東邦高校」(名古屋市)を応援する地元感情のようなものか。

全国制覇目前のコメダだが、筆者は、大きな曲がり角を迎えたと思う。

「高岳店」の店内(筆者撮影)

10代からコメダに行っていたという建設関連業の社長(50代)は「最近はコメダにほとんど行かない。業界団体の会合など、大人数で集まるときに利用する程度」と明かす。

別の取材で会った人の中には、「コメダはコーヒーがおいしくないので行かない」(50代の管理職)という声もあった。実は近年、筆者のもとにはこうした声が増え、地元名古屋でも高まってきた。長年、コメダに通い続けて習慣化した高齢者には支持されるが、その下の現役世代に“コメダ離れ”が目立つのだ。

仕事柄、スペシャルティコーヒーを追求する専門家も取材するが、この人たちからは「スタバのコーヒー」を論評する声は聞くが、「コメダのコーヒー」の話は出てこない。

「コーヒーの飲み方」も変わった

2014年頃から、同社は「昔から変わらないのもコメダらしさ」を見直し、「季節のシロノワール」など看板ブランドの活性化に取り組み、一定の商品リニューアルに成功した。

一方、「コメダブレンドは濃厚なフレッシュ(コーヒークリーム)とシュガーの両方を入れるのがオススメです」を掲げ続ける。だが、平成時代にブラックで飲むことが一般的になった消費者への訴求としては、時代遅れ感もある。喫茶市場の2割の市場規模に達した「コンビニの100円コーヒー」も、多くの人はブラックで飲む。

「ウチのコーヒーは誰でも親しめる味。コーヒー通を相手にしていない」という幹部の声も聞いてきた。それはわかるが「コメダブレンド」の基本設計を見直す時期に来ていると思う。3大チェーンのスターバックスにもドトールにも、全店のコーヒーの味を決定する“スペシャリスト”がいるが、コメダにはこうした「造詣の深い社員」もいない。

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