全国制覇のコメダ、地元名古屋での愛され方 「コーヒーを進化」させないと将来が厳しい
「この店の8割ぐらいは常連客です。今の時間は、近所の人がモーニングをとりに来店する。今日はもう少しするとグループ客が来る日。ほとんどの人が顔なじみだね」
作業をしながら話す達也さんに、飲食を作る博子さんが「これはバターなしだから××さん(常連客)のトーストね」と声をかける。名古屋喫茶らしいのが、常連客の「コーヒーチケット」(回数券型の割引券)をボトルキープのように預かることだ。
コメダの成長要因の1つは、この“ご近所ぶり”だ。朝のモーニングサービス時間帯は、常連客が「いつもの」と注文すれば、無料でつくトーストを「Aさんはバター少なめ」「Bさんは耳切り(パンの耳を切る)」「Cさんはよく焼き」(少しこんがり焼く)というように常連客の好みで提供する。口を開かず、表情で注文するお客もいる。
「交通安全活動」参加後に立ち寄る
学生アルバイトの多い別の加盟店では、プレートの両側に、こうした注文パターンを20種類ほど用意する店もある。カウンターの中で飲食を準備する店員、外で接客する店員の双方が理解できる仕組みで、女性店主の発案だ。この店では、ゆで卵もバラ売りする。
名古屋では、会社や自宅にお客が来ると「喫茶店に行こうか」と連れ出すことが多い。この連れ出し文化に応え続けたことで、「コメダに行こうか」の存在となった。
「今日は『ゼロの日』なので、終わった後にココに来ました。私はまだ通い始めて10年ぐらいだけど、この人は長いのよ」
松風店に自転車で来た女性客2人(70代)は、穏やかな表情で話す。「ゼロの日」とは、名古屋市が行う「交通事故死ゼロを目指す日」のことで、ボランティアで活動を続けているそうだ。地域活動の終了後に自転車で訪れる姿に、ご近所ぶりが表れていた。
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