全国制覇のコメダ、地元名古屋での愛され方 「コーヒーを進化」させないと将来が厳しい

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コメダ2号店として今も営業を続ける「コメダ珈琲店 高岳店」(筆者撮影)

クルマ社会の当地の大動脈・名古屋高速に近い場所に、古めかしい3階建てのビルが建つ。その一角にあるのが「コメダ珈琲店 高岳店」だ。

経年変化した外観にも情緒がある。コメダの2号店として開業したのは1972年。1号店はビルの老朽化に伴い、2014年に閉店したので、開業47年の高岳店は「現存する最古のコメダ」だ。こちらも店主の伊奈信光さん・信子さん夫婦が長年切り盛りする。

コメダの主力商品「コメダブレンド」は、工場で一括製造したもの(液体)を毎日各店舗に配送。店ではそれを温め直して提供する。誰が淹れても、どこで飲んでも同じという「均質化」、提供の「迅速化」にこだわったやり方で、すでに40年の歴史がある。

注文後に挽いた豆でコーヒーを淹れる

だが、高岳店は違う。注文後に挽いた豆で淹れるコーヒーだ。メニューには「キリマンジャロ」や「マンデリン」もある。コーヒーのカップも他店とは微妙に違う。ブレンドコーヒーを飲んでみると「喫茶店の濃厚なコーヒー」を感じる。

実は、現在の一括製造にする前、コメダは「世界の珈琲」を掲げていた。「当時のメニュー」を見たことがあるが、ホットコーヒーだけで13種類。「ストロングコーヒー(悪魔の強さ)」「ソフトコーヒー(悪魔のやさしさ)」(いずれも200円)のほか、「カフェ・ロワイヤル」(ブランデーの炎を楽しむコーヒー、400円)という商品もあった。

ちなみに高岳店も全席喫煙可。現在の「巨大チェーン店・コメダ」とは別の存在感だ。

高岳店で注文した「カツカリーパン」と「コーヒー」(筆者撮影)

筆者は以前から、本拠地の名古屋で「コメダの評判」を聞いてきた。当初は巨大チェーン店ゆえ、地元で反発する声も多いと予想したが、違った。

どこか誇らしげな人が多く、コメダの動向をSNSで発信する人も目立つ。名古屋弁で言うと、「コメダも大きなったな~」という思いか。実は、名古屋人は「ここから出ていって成功した」事例が好きだ。「今の日本は、ここから出ていった織田信長(安土)と豊臣秀吉(大坂)と徳川家康(江戸)によって築かれた」を熱く語る人もいる。

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