日本のおかしさ映す「東京貧困女子」の問いかけ 幸せな青春を送った世代は現実に気づいてない
貧困は、「欲しいものが買えない」「食べたいものが食べられない」という消費活動の鈍化だけでは終わらないと中村氏は指摘している。貧困が貧困を生み、世代を超えて苦しみが続き、逃れることができなければ、最終的に死という領域が見えてしまうとも。
つまり日本は、「安全と安心」などではなく、「不安と恐怖」を駆り立てることを推奨する社会になってしまったということだ。
やがて中年男性にシフトチェンジする?
しかも、見逃しがちなポイントがある。本書は女性に焦点を当てているものだが、それは現在、女性をターゲットに貧困化が進行しているからにすぎない。だから、中村氏の次の言葉をひとごとと考えるべきではないのだ。
「母親から虐待を受けてうつ病になり、生活保護を受けて暮らす25歳」
「有名女子大卒業後、上場企業に就職するも、精神的な問題を抱えた姉の介護のため離職をしたことで転落した53歳」
「冷暖房がなく、満足に光も入らない屋根裏部屋で暮らす、55歳のキャリア官僚元夫人」
「東京大学大学院卒という肩書きを武器に仕事をするも、パワハラで病に倒れ、電動車椅子の生活を余儀なくされる45歳」
本書に登場する女性たちはみな、こちらの想像をはるかに超える日常を生きている。だから読み進めていくうちに、どんどん気持ちは沈んでいった。しかし、それでもわれわれは、こうした現実から目を背けるべきではないのだ。なにしろ、決してひとごとではないのだから。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら