29歳のパラ卓球選手が伝えたい「諦めないこと」 パラメッセンジャーになった金子和也選手
講師であるアクセンチュアのテクノロジー コンサルティング本部 ITアウトソーシングデリバリー グループ マネジング・ディレクターの金子達明氏は「中学生向けにわかりやすいストーリー」への改善を促した。
本番の聴講者は、全員が神奈川大学附属中の中学生。趣旨が納得でき、シンプルに伝えられる構成にすることで、聞き手はもちろん、講演する金子選手自身も「自分がいちばん伝えたいポイントを明確にする」ことができると、アクセンチュアの金子氏は話す。
パラアスリートからのメッセージは「人の心」を動かす
2月9日、講演が開かれた神奈川大学附属中の一室には、46人の中学1、2年生が集まった。そのうち8割が卓球部だった。
そして金子選手は、「本当になりたい自分を目標にすることが大切」をテーマに講演を開始。自己紹介からスタートし、自身の経歴を交えながらパラ卓球のルール・魅力について解説していった。
その姿は、2週間前のリハーサルのときとはまるで別人だった。
言葉に詰まることもなく、スムーズに講演を進行。時折、生徒たちに質問を投げかけてコミュニケーションを図るなど、さまざまな工夫があった。
自身は「50~60点」と講演の出来を採点したが、講師のアクセンチュアの金子氏は「細かい修正点はあるものの、全体的にはよかった」と合格点。パラスポーツメッセンジャーとして好スタートを切った。
最後には、自分の可能性を否定せず、信じることの大切さについて、こう説いた。
「実は、6歳に手術した後、担当医から“歩けなくなるだろう”と言われていたんです。正直、一度は諦めかけました。でも僕は『絶対に歩ける』と自分を信じることにしたんです。必死にリハビリして、効果があるかわからないようなこともたくさんしました。その結果、補装具と杖は必要ですが、歩けるまでに回復することができたんです。担当医には“奇跡的な回復だ”と言われましたね(笑)。
でもその瞬間、僕はこう思いました。『信じて努力し続ければ奇跡は起こせるんだ』と。もし、あの時点で歩くことを諦めていたら、中学で卓球に出会わなかったら、今の自分はいません。だからみなさんには、妥協せず、本当になりたい自分を目標に設定して前に進んでほしいなと思います」
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