謙遜でも自慢でもない回答である。ただし、白澤さんは学歴や職歴をそのまま「頭のよさ」に結び付けているわけではない。学生時代から付き合っている恋人は、慶応ではなく東京理科大学の卒業生だ。飲食店でアルバイトをしていたときに出会った2歳年上の男性で、現在はメーカーで設計職に就いている。
いい彼女を演じることも大切
「人間として頭のいい人です。バイト時代からよく仕事ができて、周りからも一目置かれていました。今の仕事もプロ意識を持って臨んでいるみたいです。そういう人じゃないとそもそも私は好きになりません。彼のことは立てていますよ。彼の友だちや同僚と一緒に飲むときは控えめにしています。いい彼女を演じることも大事だと思うので」
白澤さんの期待に応え、恋人は「結婚したら生活費はオレが稼いでやるよ」と甲斐性を示している。ただし、白澤さんは結婚しても仕事を辞めるつもりはまったくない。
「(実家で暮らしている)今の生活水準を落としたくありませんから。私は弟が2人いますが、教育にはおカネをかけてもらったと思います。ピアノ、バレエ、油絵と好きな習い事はさせてもらって、家族旅行も我慢せずに行けました。ぜいたくではないけれどおカネに困らない生活です。もしも死別や離婚をしても、自分ひとりが生活できるだけの仕事は続けていきたい気持ちもあります。心配性なので」
仕事を続けるもうひとつの理由は、「やって当たり前の家事だけではなく、人から評価される仕事をやりたい」ことだ。
「先日、会社で昇進したのです。お給料も少しだけ上がりました。頑張っていることをちゃんと見ていてくれたんだな、認めてもらったな、と感じます。やっぱりうれしいです。うれしいですよ」
美人だねとちやほやされるのも、素直に喜ぶと語る白澤さん。温かく豊かな家庭で愛されて育った人の曇りのなさを感じる。心配性と承認欲求が原動力となって努力を重ね、現在に至ったのだ。
取材終了後、新橋駅まで一緒に歩いて改札で別れた。30分後には携帯に白澤さんからメールが入っていた。
〈今日はごちそうさまでした。ありがとうございます。好き放題しゃべったのでまとまりがなかったかもしれませんが…。伊藤さんにも宜しくお伝え下さい(^-^)〉
礼儀正しく愛嬌もあり、それでいて無駄な下心も抱かせない文面である。好印象だけが残った。「現場が好きなので管理職にはなりたくない」という白澤さんだが、周囲が放ってはおかない気がする。
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