このサーベイは、番組に出演しているコメンテーター30数人を対象に毎週末に行っているもので、日・米・欧・中の経済を「改善」「やや改善」「横ばい」「やや悪化」「悪化」の5段階で評価する。それらをプラスマイナスすると、欧州はさすがにマイナスゾーンが続いているけれども、中国とアメリカ経済への評価が急上昇している。
中国ではいったい何が起きているのか。昨年1年で25%も下げた上海総合指数は、今年1月から上昇に転じ、節目とされる3200を超えている。
4月17日に発表された1-3月期の実質GDPは前年同期比で6.4%の伸びとなり、昨年10-12月期と同じであった。3四半期連続の減速から、ようやく下げ止まったことになる。と言えば、当然反論もあるだろう。確かに底入れの兆しはあるけれども、中国経済には過剰債務などの構造問題があるし、景気刺激策による負の効果も気になるところである。トランプさん(ドナルド・トランプ大統領)相手の米中通商協議だって、これからどう転ぶかわからない。
とはいえ、この手の議論は過去に何度も繰り返されてきたことである。中国経済は外から見ていてもわからない。一種の「ブラックボックス」だと割り切るべきであろう。日本ではネガティブバイアスが強いので、とかく中国悲観論がコンセンサスになりやすい。しかし中国経済の減速は、昨年後半からずっと言われてきたことだ。それは想定の範囲内。むしろ政府による機動的な景気対策を受けて、中国経済が予想より早く立ち直る方がリスク・シナリオとなり得るのではないか。
通常とは逆の「チャイナリスク」を警戒せよ
その場合、世界経済は夏頃から再加速することになる。そのときのアメリカの金融政策はどうするのだろう。FOMC(米連邦公開市場委員会)は、昨年末のタカ派から今年になってハト派に大変身した。年内は利上げどころか、利下げもあり得るという相場観になっている。米連銀の資産減らしも、今年9月には止めてしまうという。そこへ中国経済が急反転したからと言って、米連銀は再びタカ派路線に戻れるのだろうか。
ジェローム・パウエル議長下の米連銀は「データ重視主義」になっている。現場の声に耳を傾けるといえば聞こえはいいのだが、その分、金融政策からロジックが消えてしまった。ベン・バーナンキ、ジャネット・イエレン議長の時代とはそこが大違い。1年もたたないうちにタカになったりハトになったり、ということになると、それこそ金融政策への信認が揺らいでしまうのではないか。
「チャイナリスク」といえば、普通は中国経済の減速が世界全体の足を引っ張ることをいう。しかし今年の場合、むしろアップサイドリスクの方を警戒すべきではないか。中国経済は今や名目GDPで日本の2.5倍もある。アップサイドもダウンサイドも、わが国としては両方の可能性を睨んでおかなければならないだろう(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が、週末の人気レースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。
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