「いつもとは逆のチャイナリスク」に注意せよ 何か「急激な変化」が起きているのだろうか

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ということで4月18日に発表された月例経済報告では、内閣府は3月に引き続いて基調判断を「景気は、このところ輸出や生産の一部に弱さもみられるが、緩やかに回復している」に据え置いた。2月までは14カ月連続で「景気は、緩やかに回復している」としていたわけで、問題なのはここへきて「輸出と生産に弱さがみられる」ことである。

突然急浮上した「中国経済への強気論」

ぶっちゃけで言ってしまうと、日本経済は今でもモノづくりが中心で、第2次産業を中心に景気変動が起きる。ゆえに景気指標の中でも、生産に関するデータに注目しなければならない。そこで鉱工業生産はと見ると、今年1月に大きく下落して、2月はほぼ微増に終わっている(3月分は4月26日に公表予定)。理由は言わずと知れた輸出の落ち込みで、なかんずく中国向け、特にIT関連製品が大きく落ち込んでいる。

思えば年初には、アップルのティム・クック会長が中国圏の弱さに警告を発する「アップル・ショック」があったし、日本電産の永守重信会長が中国国内の需要減を、「これまでの経営経験で見たことがない落ち込み」と評したこともあった。

問題が中国経済にあるとしたら、日本としては対応が難しい。政府はまだ「戦後最長の景気拡大期間を更新中」という看板を下ろしていない。しかしここで景気が息切れしようものなら、金融緩和策はほぼ出尽くしてしまっているし、財政政策ではむしろ半年後に消費増税を控えている。普通に考えたらかなり怖い局面なのだが、為替が安定していることもあって、そして10連休を控えていることもあって、世の中はどこかほんわかしている。

ところがここへきて、中国経済への強気論が急浮上している。テレビ東京『ニュースモーニングサテライト』 が毎週月曜日に公表している「モーサテ・サーベイ」では、4月15日公表分の中国経済の評価が+35.5となった。正直なところ、自分が参加しているアンケート調査をことさらに強調するのは気が引けるのだが、4月になってからの上昇があまりにも目立つので、敢えてご紹介する次第である。

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