東京のホームレスは今晩どこで眠りにつくのか 大阪など大都市周辺で暮らす彼らの変遷

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「不法耕作禁止」と書かれた看板を立てられたり、立ち退くよう勧告されている(筆者撮影)

河川敷の葦の中に小屋を建てたり、畑を作ったりして生活している人が多い。河川敷は駅や公園に比べると、比較的管理がゆるい。たびたび役所の人に「不法耕作禁止」と書かれた看板を立てられたり、立ち退くよう勧告されたりすることはあるというが、強制排除はまずされない。

河川敷はなんといってもとても広い土地がある。都心部の公園とは違い、しっかりとした建物を建てられる。ホームレスのなかには建築関係で働いていた人も多く、実に手際よく、上手に建物を作る。小屋というより家というレベルの建物もある。

小屋というより家というレベルの建物(筆者撮影)

その小屋に夫婦で暮らしている人もいたし、工場に通って働いている人もいた。

ただ河川敷は都市の中心に比べると、空き缶を集めるなどの行動を取りづらいことが多い。また水の確保などに苦労する場合もある。

また、花火をぶつけられるなど、河川敷に遊びに来ていた人に嫌がらせをされることもある。台風や大雨で河川が増水した際には、家財がそのまま流されてしまう危険をはらんでいる。逃げずに小屋にいて、川に流されてしまった人もいた。

毎日移動して夜までにいい場所を見つける日々

決まった場所には住まず、毎日移動して生活するホームレスも多い。荷物を荷台などに積んで移動し、夜までにいい場所を見つけて寝る。

公園ではテントを張ったり、定住したりするのは難しいが、一夜限りで寝るのならば、見過ごされる場合がある。上野公園もテントを張っている人はほとんどいなくなったが、夜中になると寝袋などにくるまって眠っている人がいる。

新宿駅の西口地上などでは、百貨店のシャッターが閉まるとその前で、ホームレスたちが段ボールで簡易のスペースを作って眠っている。繁華街で寝る場合、酔っぱらいなどから暴力を受ける可能性もあるし、荷物を盗まれることもある。

寝場所が決まっていないのは、精神的にも肉体的にもかなり厳しい。

ホームレスが住む場所は時代とともに、徐々に変化してきた。

ただし路上生活をしている以上、いつの時代も安眠することはできないのだ。

村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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