今や流通ナンバー3、家電王者・ヤマダ電機が成長へ“奇策”《特集・流通大乱》

電器店が続々ヤマダ系に 成長への執念の背景には…

「粗利はナショナル(現パナソニック)時代よりも明らかに増えた。こんなええこと、なんで他の店もまねせんのかな」。福井県勝山市で電器店を営む川原勝さんは言う。先代の父親がナショナルの系列専門店として開業したが、地場量販の台頭で業績低迷。生き残りを模索して他のVCチェーンに入った後、07年からコスモスのFCに転身した。

FC店は月2万~5万円のPOSリース料等を払うほか、店舗規模に応じて10万円以上の加盟料を支払う。だが引き替えに、ヤマダが調達した商品をコスモスを介し数%の卸マージンを上乗せした程度の価格で仕入れられる。ヤマダの強力なバイイングパワーの恩恵を受けられるのだ。

専門店時代、川原さんの最大の悩みは松下電器産業(当時)からの仕入れ値の高さだった。地域の家電量販の表示価格より高いこともしばしば。粗利をぎりぎりまで絞って値をつけた。「この仕入れ値ではやっていけん、専門店を殺す気かと(松下の)営業マンに抗議したが、何も変わらなかった」。今、自店に並ぶ商品は競合量販より3~5%高い程度。この差なら製品設置や調整など、量販より細やかなサービスで相殺でき、十分消費者を呼び戻せる。

川原さんの店をはじめFC・VC店の多くは地方の高齢者が多い地域や山間部などにあり、都市部よりもサービス部分の訴求力が高い。ここがヤマダ側の狙い目なのだ。「大型店でもカバーできない小商圏や、応えられない顧客要求をFC・VC店が補ってくれる」(コスモス・ベリーズの岩瀬弘之社長)。コスモスは12年3月期にFC・VC3000店を傘下に収め、ヤマダの年商3兆円計画の一翼を担う目標だ。

積極買収、商品の多角化、販売網のローカル化、さらに08年末には中国出店計画も具体化させた。景気後退下でも歩みを止めないヤマダの姿は成長への執念を感じさせる。それも無理はない。ヤマダは必ず年商3兆円の中期経営目標を達成しなければならない“成長時限爆弾”を抱えている。08年3月に転換社債1500億円を発行。転換価格は上場来高値にほぼ匹敵する約1万4000円。不況下でも成長を維持し、企業価値を高め続けなければならないのだ。

これまでほぼ毎年増資や社債発行を実施し、それを元手に企業成長と高株価を実現してきたヤマダ。逆風下でも好循環を保つために、ヤマダは家電量販、そして流通業界の秩序を攪乱することになりそうだ。

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(週刊東洋経済)

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