しかもここでいう愛情は、愛情ならどんな愛情でもよいというものではなく、お子さんが生涯幸福に生きるための基礎作りとなる愛情です。
この愛情は子どもを身ごもったときから必要とされていて、手遅れになっても後悔先に立たず、時をさかのぼることはできません。あなたは今、母親として、毎日が真剣勝負の日々なのです。
私は子どもが大好きで、加えてわが子ですから、かわいくて愛おしくて、これ以上は雑巾を絞っても滴る水がないほどに愛情を出し尽くして、子どもを育てました。
そんな私が子どもの独立後、拙著『一流の育て方』(ダイヤモンド社)を出版したとき、多くのすばらしい家庭教育に接し、一時は立ち直れないほど、激しい後悔に襲われました。
賢い親御さんたちの育児法からはほど遠く、そして成人した子どもたちから感謝される教育とは無縁の我流育児をしていたことを、思い知らされた経験でした。
親から虐待された人が親になった場合、自分の子を虐待する親になる確率はとても高いそうです。愛美様のご相談文を3分の1に要約させていただきましたが、あなたのお母様は本当にひどく、その意味ではあなたも、お嬢様に愛情深く接するための原体験や、よいモデルを十分に知らずに親になりました(そのような人が全員、毒親になると申しているのではありません)。
成功体験や反面教師の存在を子育てに生かす
私は親から大切に扱われましたが、それでも諸事情で、何かにつけてコンプレックスの塊で大人になりました。ある意味であなたと共通する原体験を持っています。
この日本では、子どもは食べさせさえすれば育ちますが、どのように育てるかは、親の生きざまや育児法にかかっています。
自然に賢い親としての資質が身に付かなかった私のような者は、育児についても「かわいい」だけでガムシャラに育てるのではなく、さまざまな成功体験や反面教師から学んで育児に生かすべきだったと、遅まきながらショックを受けた次第です。
愛美様には、私のような後悔をしてほしくありません。
お母様のように親の価値基準の範囲から外れてヒステリックにののしる親にも、ただ食べさせて大きくするだけの親にもなりたくないものですね。
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