人望のない上司は部下のホンネがわかってない 仕事上の鎧を捨て正直に伝えることが大事だ
上司と部下の関係は私的な、いわば親密な人と人との関係。この姿勢こそが、「心から気にかけること」だというのである。
そんなことは管理職として当然の仕事だという気もするが、実際のところ、それができる人はなかなかいないとキム氏は言う。確かにそうかもしれない。批判すれば、部下が怒りをあらわにすることも考えられるからだ。しかし、それではいい関係が築けるはずもない。だいいち、部下を「心から気にかけて」いないように見えてしまうだろう。
とはいえ、ダメなことをはっきりダメと伝えるのが、上司としての思いやりを示す最良の方法だというのだ。いってみればその姿勢こそ、「言いにくいことをズバリと言うこと」だという考え方である。
なぜ、「徹底的」であるべきなのか?
つまり「徹底的なホンネの関係」は、相手のことを「心から気にかけ」ながら、「言いにくいことをズバリと言う」ときにこそ生まれるということ。ホンネをズバリと言うことにより結果的には信頼が築かれ、コミュニケーションが生まれ、狙った効果が出るようになるのである。
また、「徹底的なホンネ」の関係には、管理職の心の奥にある恐れを減らすことができるという効果もあるようだ。
なお、部下が上司を信頼し、上司が自分を気にかけてくれていると信じることができると、次の「5つのいいこと」が起きやすくなるという。
2)上司は部下にどこがうまくいっているかを教え、ダメな点も正直に教えられるようになる。
3)部下同士の間にホンネの関係が伝染し、無駄な努力と失敗を何度も繰り返さなくなる。
4)チームにおける自分の役割を理解し、受け入れるようになる。
5)結果に目を向けるようになる。
(46ページより)
それにしても気になるのは、「徹底的なホンネの関係」という言葉の真意である。そもそもなぜ、「徹底的(ラディカル)」でなければいけないのだろうか?
この疑問にキム氏は、「それは、私たちが本心を言わないことに慣れきっているからだ」と答えている。
確かにわれわれは人づきあいをスムーズにするために、なんでもオブラートに包んでしまう習慣がついているのではないだろうか? それは、対立や気まずさを避けるための知恵だとも言えるかもしれない。
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