仕組み債、デリバティブ投資で多額の含み損! 大阪産業大学の杜撰な資産運用

結局、円高となったことで、2年目以降の金利はゼロに転落。元本も円高の影響で大幅に目減りしており、08年3月末時点で購入価額を4割以上も下回っていた時価は、さらに下落しているとみられる。このまま3月末を迎えた場合、時価が著しく下落した銘柄(おおむね50%を超える下落率)として、減損処理の対象になるだろう。ほかにもアジア開発銀行やドイツ復興開発銀行が発行した仕組み債などを野村証券を通じて購入している。いずれもが1年目は超高金利を得られた一方、2年目の現時点では受取金利がゼロに転落。これらも3月期決算では同じく減損処理を迫られる可能性が極めて高い。

「仕組み債条件一覧」(08年12月8日付)と題し、野村証券が大産大向けに作成した内部資料には、野村が売り込んだ仕組み債のうち、前出の野村ヨーロッパファイナンスなど、すでに5銘柄の利率がゼロになっている事実が記載されている。そして09年1月以降には新たに2銘柄の金利がゼロになる見通しだ。

大産大の資産運用の実態を分析した細野会計士が厳しい口調で警告する。

「あまりにも愚かな取引だ。今、すべての仕組み債やスワップ取引を解約すると、100億円近い損失が出る可能性が高い。しかし、即刻解約してでも、これ以上の被害の拡大を回避すべきだ」

一連の仕組み債投資やスワップ取引は、大産大の監査を担当していた監査法人トーマツも問題視していた。みすず監査法人から大産大の監査を引き継いだトーマツは、08年3月期決算で適正意見をつけている。だがその一方、昨年9月3日付で大産大に提示した「監査覚書」(非公表の監査所見)では警告を発していた。本誌が入手した同文書では次のような記述がある。

「有価証券について、08年3月末の評価差額(=含み損)は▲(マイナス)40億2000万円と、前期の▲4億4500万円に比して9倍強にも増大しています」

「有価証券の運用については仕組み債を中心に行われており、満期償還まで保有するよりは、為替変動リスクを考慮しつつ、有利な運用利息収入を獲得するために運用しているものと思われますが、資金繰りの都合で満期前に解約した場合は、多額の損失が発生する可能性があります」

さらに「貴法人は、有価証券の運用のポートフォリオ、運用枠の上限額、市場変動、為替変動リスクに対する対応状況などを示した有価証券の運用規程がありません。また、有価証券の時価が著しく低くなった場合の取り扱いとして、有価証券の減損処理に関する規程がありません」と指摘したうえで、デリバティブ取引についても「公的機関としての学校法人が行う資金運用手段として適切かどうかも含めて、慎重に検討すべきです」とした。

そして、トーマツは「有価証券と同様に早急にデリバティブ取引運用規程を策定し、一定のルールの下に取引を行うだけでなく、デリバティブ取引の運用責任者の理事会への報告、さらには、必要に応じて学生・父兄等への説明責任を果たす必要があります」とも警告。資産運用のリスク管理は失格同然といえる。

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