輸送危機で形ばかりとなる「雑誌発売日」の意味

地方書店から驚きと戸惑い、仕方なしの声も

もちろん、出版物の輸送が厳しい局面を迎えるのは今に始まったことではない。書店が閉店する事情について書いた「日本の書店がどんどん潰れていく本当の理由」でも指摘したように、そもそも日本の出版流通は、毎日のように書店などに便がある雑誌配送網に書籍を載せる形で成立していた。

しかし、雑誌の販売量が年間39億1060万冊でピークを迎えた1995年に比べると、23年後の2018年は11億9426万冊と3分の1以下に減少したことで、配送網を維持することが難しくなっている。

今回の雑誌配送遅延も、出版流通網全体の維持が困難になる中で、もともと無理をしていたところにほころびが出たが、出版物の輸送を担う取次会社にそこをカバーする余力がなくなっているということである。

定期的に刊行される週刊誌や月刊誌などの雑誌には、発売日が設定されている。しかし、多くの出版社が東京に集中しているため、印刷した雑誌を同時に全国の書店に届けることは難しい。このため、同じ地域は同じ発売日にする「同一地区同時発売」という原則にのっとって発売日が決められている。

通常、東京など大都市は発売日当日の発売になるが、遠方になると発売日から2日目に店着する「2日目地区」、同じく3日目の「3日目地区」と遅れて発売されてきたのだ。

発売日は厳守、「早売り」は厳禁だったが…

かつて、出版業界ではこの発売日を厳密に守ることが求められた。発売日に雑誌を買おうとする人々が列をなすこともあった雑誌全盛の頃は、ほかの店より早く発売する「早売り」は厳禁とされた。

しかし、発売日前に入荷した雑誌をこっそり売ったり、なかにはレジの内側に隠しておいて、それを知る客が来ると袋に入れて渡すといった、あたかも密売品の取引のようなことまで行われていた。一方で周りの書店が「早売り」を見つけると、その地域の書店組合の役員などが、「早売り」店に配送しているトラックのあとをつけ、配送元を割り出して取次や出版社に訴え出るという「探偵もどき」のことまで行われた。

書店、取次、出版社の業界団体で構成された「発売日励行委員会」と呼ばれる組織があり、ここに各地から“違反案件”が寄せられた。なかでも、週刊少年漫画誌『週刊少年ジャンプ』で「早売り」が問題視されることが多かった。

コンビニエンスストアへの雑誌配送時間が、午前0時から5時の間に定められたのも、アルバイトが多いコンビニでは、陳列時間の管理が難しいため当日の午前0時までは配送しないよう設けられた規定だった。

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