DeNAと関電「異色コラボ」が実現した意外な事情 舞鶴発電所の現場取材で見た石炭火力のいま

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こうした中で、「電力村」として自前主義が強かった関電もオープンな姿勢に変わりつつある。異業種のディー・エヌ・エーと組むのはその象徴だ。関電関係者は「会社としてデジタルトランスフォーメーションに取り組んでおり、今回はその一環だ。火力でオペレーションの効率化、高度化に取り組んでいく。ディー・エヌ・エーはAIエンジニアがたくさんおり、発電への理解が早くできていた」と話す。

乗り越えた社風の違い

社風の違いも乗り越えた。関電関係者は「ディー・エヌ・エーのスピード感に合わせるため、弊社のレスポンスを極力早くしてやった。それでもスピードが違ったが、プロジェクトはわずか3カ月でできた」と驚く。実際、ディー・エヌ・エーで今回のプロジェクト担当者4人が現場を訪れたのは1回程度で、ほとんどがチャットを頻繁に活用したやり取りだったという。

舞鶴発電所に到着した大型石炭船(記者撮影)

関電もプロジェクトに携わる3人については、「ある程度の対等なAIリテラシーがないといけないと思い、大阪大学でのAI人材育成の特別講座を受講してもらった」(関電関係者)という。関電もAIの勉強を積み重ねた結果として、両社の意思疎通がスムーズになった。

一方、ディー・エヌ・エーにとっても今回のエネルギー分野は新たな挑戦だ。社内には豊富なAI人材・データサイエンティストを抱えており、主力のゲーム事業に加え、最近はヘルスケア、オートモーティブなど多様な分野へ展開を広げている。

オートモーティブでは2017年に日産自動車と将来の自動運転時代に向けた新たなサービスプラットフォーム開発で提携。さらに次世代タクシー配車アプリ「MOV」も進めている。ヘルスケアではメットライフ生命と健康増進型保険の企画・開発などで2月に提携した。これらに続き、保守的だったエネルギー業界でも関電に食い込んだ格好だ。

今後、両社の展開がどう波及するか。老舗と新興のコラボに注目が集まる。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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