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パチンコに狂う父から20歳で逃げた息子の告白 自殺未遂した際の入院費も息子が負担した

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  • 大塚 玲子 ノンフィクションライター
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とはいえ、すべてが解決したわけではありません。2018年のはじめ、弁護士事務所から突然電話がかかってきました。6年前、母親が最後にいた病院の入院費が一部未払いになっており、保証人だった瑛太さんのもとに督促がきたのです。瑛太さんはやむなく、この入院費をカードローンで立て替え払いして、今も返済しています。完済まで、あと約1年かかる見込みです。

また瑛太さんが家を出てから、父親は東京で出稼ぎをしているのですが、最近はこちら(岩手)に残した部屋の家賃を滞納している気配が。保証人にはなっていないものの、不安を感じるところではあります。

瑛太さんにとって父親は、「生きている以上は、重石のような存在」なのだといいます。

「親以外の大人」と関わりを持ったほうがいい

親に苦しめられる子どもたちは、たくさんいるでしょう。そんな人たちに、瑛太さんは「親以外の大人と関わりを持ったほうがいい」と言います。

「親からの教え込みや押し付けで子どもの価値観は変わるし、人生がいい方向に行くこともあれば、ひん曲がった方向に行く可能性もある。でも、いろんな大人の人たちの話を聞けば、自分が(親から)教え込まれていることが正しいのか間違っているのか、比べることができます。

自分は小学校のとき野球をやっていて、そのときの監督やコーチがずっと近くにいて、今も関わりを持てている。これは幸せなことと思います。高校のとき、担任の先生が『簿記2級に受かったんだから、大学進学や税理士を目指す選択肢もある』と教えてくれたのもありがたかった。子どもは目の前のことしか見えないので、選択肢を増やしてくれる大人の存在は大きいです」

親以外の大人の人たちに救われた――瑛太さんはそう強く感じています。野球部はお金がかかるため、中学高校時代は続けることができませんでしたが、小学校の一時期でも、瑛太さんが心ある大人の助けを得られたのは幸運なことでした。

「あとは、やりたいことをやってほしいと思いますね。たとえ誰かに、ああだこうだと反対されても。今はこの選択でよかったと思っていますけれど、『自分は進路を決めるとき、親の権力に逆らいきれなかった』という思いがあったので」

瑛太さんにはこれからもっともっとやりたいことをやってほしいし、世界中の瑛太さんのような子どもたちが、親に縛られずに生きてほしい。亡くなった彼の母親も、そう願っている気がします。

本連載では、いろいろな環境で育った子どもの立場の方のお話をお待ちしております。成育環境が変わっているからといって「かわいそう」なわけでもなく、傍目には恵まれた環境でも、本人はつらいこともあります。詳細は個別に取材させていただきますので、こちらのフォームよりご連絡ください。

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