人生観すら変わる「アフリカ海外研修」のリアル 日本と大きく異なる環境だからこそ行く価値

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ウガンダで農作業をする子どもたち(写真:NPO法人ICYEジャパン提供)

問題意識を持ちつつ日本の生活に復帰していく中で、海外の社会問題もわが事として考えられるようになるのかもしれません。

ちょうど先日タンザニアから帰国した学生Aさんも、3つ目の何もできない自分に気づいて帰国したそうです。

貧富の差の激しさや障がいがあって親がいない子どもたちなどのリアルを現場で毎日居合わせていく中で、何も現状を変えることができない自分と葛藤する日々を過ごしたうえ、帰国に至りました。

ただそういったAさんのような参加者も、時間を経て自分なりの結論にたどり着くそうで、「アフリカは日本とはまったく違う」「自分の普通は普通じゃない」ということを心から実感できるということだけでも行く意味があるのではないでしょうか。

こんな学生の感想もあります。

「ボランティアとしてここに来て、彼らに何を残すことができるのだろうかと毎日悩み、ただ、子どもたちを少しでも楽しませ、喜ばせることができたら、という思いだけで全力で過ごした日々でした」(京都大学、1カ月、男性)

アフリカでしか味わえない経験も魅力

今回、アフリカにおける実践活動の話を聞いて感じたのは、日本と大きく異なる環境だからこそ、行く価値があるということ。

そして、アフリカにおいては、海外インターンシップと海外ボランティアはまったく考え方やアプローチが異なるため、注意が必要です。

【2019年4月3日12時30分追記】初出時、お話を聞いた方の学生時代の経験に事実と異なる部分があったため、下記のように修正しました。

お話を聞いた古田氏、又吉氏ともに学生時代の発展途上国での経験がもとで、現在の仕事に就いているということ。

「アフリカは一言で語れない、まだまだ知りたいことがあり好奇心がどんどん出てくる」(古田氏)

「アフリカを知って以来、ぼーっと生きるということがなくなった」(又吉氏)

という2人の言葉が示すようにアフリカ海外研修では、ほかの地域では味わうことができない体験ができるといえるでしょう。

大川 彰一 留学ソムリエ 代表取締役

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おおかわ しょういち / Shoichi Okawa

日本認定留学カウンセラー協会幹事、TAFE Queensland駐日代表。1970年京都市生まれ。セールス&マーケティングに約10年間携わり、カナダに渡航。帰国後、留学カウンセラーとして4年間で約1000名以上の留学やワーキングホリデーに関わる。その後、米国の教育系NPOのアジア統括ディレクターとして約6年間、グローバル人材育成に尽力。海外インターンシップを大学の単位認定科目としての導入に成功、東北復興プロジェクト、アジアの国際協力プログラム開発にも携わる。現在は「留学ソムリエ®︎」として国際教育事業コンサルティングや留学の情報を発信。留学ソムリエの詳細はHPFacebookから。著書に『オトナ留学のススメ』(辰巳出版)。

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