部下の「評価」に悩む人に教えたい4つの極意 傷つけずにモチベーションを上げるには

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3. フィードバックを与える前に部下との信頼を築く

ステップ1と2が済めばフィードバックを与える準備が整います。それでもまだ、その部下との間でよい関係が築けていない場合は特に、気の重い仕事になるかもしれません。同様に、非常に親密な関係にある誰かにフィードバックを与えることも難しいものです。こういう場合、まず会話の中で信頼関係を築くことから始めましょう。

例えば、私は友人の上司という立場に置かれることになったことで、かなりの緊張感が生まれ、信頼関係にも溝が生じました。彼は私の権限や、自分への支援に関心を持っているかどうかに疑念を抱いていました。風向きを変えてくれたのは、フィードバックを行う際に、彼の目指すゴールのために私が投資する姿勢を見せたことでした。

部下と一緒にゴールを設定する

私は、「これが私のフィードバックだ」という代わりに、「君が昇進を願っていることは知っている。そのゴールを達成するために、私からのいくつかのフィードバックを聞く機会を設けさせてほしい」と言ったのです。こうして信頼を築いてよい話し合いを行うことができ、最終的に2人の関係も修復できました。その後、彼は昇進して自分の部下を持つことになりました。

4. 実行可能な明確なステップを設定する

フィードバックは与えて終わりではありません。「これがあなたのやったことで、これが私のやってほしいことだ」と伝えるよりも、成長のためのさまざまな選択肢について話し合い、実行のための明確なステップを設定しましょう。

「どんなことができると思うか」という問いかけをして、「あなたはどんなことにコミットできるのか、それについて私と一緒に、いつフォローアップできると思うか」という質問をしてみましょう。このように、あなたが部下と一緒にゴールを設定していけば、フィードバックを与えた相手の了承を得ることができます。この部下がこのうちのいくつかを成し遂げたときには、それを評価し、祝福しましょう。

従業員の大半は、上司からもっとフィードバックが欲しいと考えています。上司としては、確実に一貫したフィードバックを行い、ここに挙げたステップに従うことで、部下のパフォーマンスについてより生産的な話し合いが行えるようになるはずです。

そうすれば実際に改善が見られ始めるでしょう。実際、こうしたフィードバックのプロセスを1、2度繰り返せば、上司の側から切り出さなくても、部下のほうからフィードバックを求めるようになるかもしれません。

ジェフ・ミラー コーナーストーン社タレントマネジメント部門シニアディレクター

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Jeff Miller

コーナーストーンが提供する、エンゲージメント、ラーニング、能力開発などのタレントマネジメントプログラムを統括。

大手量販チェーンや大手コーヒーチェーンで、人材育成を指揮してきた一方で、教育心理学の専門家として、大学など教育の分野でも25年の経験がある。若年層のモチベーションをどう引き上げるかをテーマにした著書や、職場のトレンド・社員教育戦略について寄稿した記事がある。

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