観察する際は、客観性を保つことを忘れてはなりません。個人的なバイアスのかかったフィードバックは個人攻撃につながります。例えば、もし私が部下の1人の勤務態度が悪いという話を聞いて、その人のデスクが乱雑になっているのを見れば、それをだらしなさの表れだと受け取るでしょう。
しかし、そもそも几帳面であることがいいことだという見方自体が偏っているかもしれず、実際にはその部下は片付ける暇もないほど忙しいのかもしれません。あるいは散らかっていたほうが、仕事がはかどるタイプかもしれないのです。
客観的であり続けるために、その人の基準に照らして仕事に支障が出ているかどうか、どのように仕事に影響しているかどうか、という点に注目するようにしています。そうすればその人の仕事ぶりに関しての具体的な問題点を見いだすことができ、それについて客観的で協調的な話し合いをすることができます。
「誰のため」にフィードバックをするのか
2. フィードバックを与える前に3つの自問をする
観察してフィードバックを提供する前の、「台無しにする前に立ち止まって見る」段階を、私は次のステップと呼びたいと思います。私が気づいたのは、上司の側にフィードバックを行うための準備ができていないことが多く、会話が漠然としてしまうため、部下に自信を失わせてしまうことが多いという点です。そうならないように、少し時間をとって次のようなことを自問してみましょう。
• 自分がどのような点を変えてほしいと思っているのか、特定できているでしょうか。もし特定できていれば、それを伝える具体的な言葉を考えましょう。「今日のミーティングではやる気がなかったようだね」というような言い方でははっきりしません。その代わりに、(客観的な)事実を取り上げましょう。
「いつもだったら会話に参加するのに、今日のミーティングでは話に加わっていなかったので、身が入っていなかったように見えた」という言い方をすれば、部下には上司が自分のどのような言動について話をしているのか、どう改めればよいのかがわかります。
• ここ数週間や数カ月に、その部下は職場でどのようなことを経験してきたでしょうか?言動は唐突に起こるのものではなく、必ず、何かしら関係する理由があります。何か配慮すべき状況(家族の問題、チーム編成の大幅な変更など)があるかもしれません。
• 自分は誰のニーズを満たすためにフィードバックを行おうとしているのでしょうか? フィードバックしなければならないと思うことのすべてが、部下のためではないかもしれません。時には、不満からフィードバックの衝動にかられることもあります。その違いはなかなか見分けにくい場合もあるため、そんなときには信頼できる同僚に意見を求めましょう。
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