「東京」の不動産だけなぜか急騰している事情 不動産市況は非常に見通しにくい状況だ

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今後の不動産市況はどうなっていくのでしょうか(写真:gandhi/PIXTA)

不動産市場に異変が生じている。国土交通省が3月に公表した今年1月時点の「地価公示」によると、商業地・住宅地のいずれも上昇幅が拡大し、地価の回復傾向が鮮明になった。東京、大阪、名古屋の3大都市圏は上昇幅を広げ、地方圏の住宅地は前年比0.2%上昇し1992年以来27年ぶりにプラスに転じたと報道されている。

しかしその内訳をみると、大きな「不動産格差」が広がっているのがみてとれる。

全国ナンバーワンは「山野楽器本店」

まずは「都市間格差」。全国の商業地地価ナンバーワンは東京・銀座の「山野楽器本店」で1平方メートル当たり5720万円と、1991年のバブル経済ピークだった3850万円をはるかに上回る水準だ。

だが、大阪商業地でナンバーワンは、インバウンド(訪日外国人)客の伸びを背景に1980万円と、前年の1580万円から大幅に上昇したものの、バブル時の3500万円には遠く及ばない。

名古屋の商業地ナンバーワンは1620万円だったが、やはりバブル時の2800万円には程遠い状況だ。昨今の地価上昇が、いかに東京一極集中であるかがわかる。

次に同じ都市の中でも「立地間格差」が広がる。東京・銀座の中心から少し外れた銀座2丁目の地価はバブルピーク時に1400万円だったが、現在は293万円にとどまる。

また例えば、岐阜県・三重県は商業地・住宅地ともに27年連続下落、和歌山県は28年連続の下落と、都市部の動きとはまったく違う状況だ。こうした都市や立地による格差が大きく拡大しているのが、かつてとは異なる昨今の大きな特徴だ。

それでは日本の地価は今後どうなるだろうか。2012年の民主党から自民党への政権交代以降、一貫して上昇を続け、最高価格を更新した銀座にも、実は異変が生じている。ピークは2017年で、かつては9.6%(2014年度)、14.2%(2015年度)、18.6%(2016年度)、25.9%(2017年度)、9.9%(2018年度)と大幅な伸びを示していたが、現在は3.1%(2019年度)と、すでに伸び率は鈍化、ピークを打った感が鮮明だ。

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