学童保育「責任重大なのに低待遇」な現場の怒り アンケートからわかった指導員232人の胸中
4番目は「勤務体制」(10.5%)だった。さらに聞くと、「少し不満がある」「とても不満がある」を合わせて約6割近くが勤務体制に不満を感じていた。理由は、「指導員の数が足りない」がトップで、「休日が少ない」「保育する子どもの数が多い」と続く。
それぞれのコメント後ろの属性からもわかるように、学童保育所は同じ大阪府内であっても、地域によって運営母体や雇用形態が異なる。運営母体が子どもの保育中しか勤務時間と規定しないために「同僚との保育の打ち合わせができない」人もいるし、「勤務時間が長い」と負担に感じる人がいる一方で、もっと働きたいのに「勤務時間が制限されている」と嘆く人もいた。
そのほか「有資格者の欠員が何年も続いていることがしんどい」(大阪府・30代女性・公立公営・非常勤・1〜3年)や、「高齢の指導員が増えている。年齢で判断するのはよくないことだと思うが、人手不足、欠員解消のために誰でもいいから採用している感じがする。結局、すぐ辞めてしまう方も多くなり、現場が困る」(大阪府・40代女性・公立公営・任期付き短時間・21年以上)など、指導員の質が確保されていないことを伝える声も。
「従うべき基準」撤廃への不安
5番目は、「学童保育所運営の『従うべき基準』の事実上の撤廃」(9.6%)。従うべき基準は、2015年の子ども・子育て支援制度の中でスタート。1カ所40人につき指導員は2人以上、うち1人は都道府県の研修を受けた「放課後児童支援員」であることが義務化された。
しかし、基準を満たす指導員を確保することが難しいという一部地方自治体の声に応えて、政府は事実上の基準の撤廃を閣議決定した。今後は、所定の研修を受けていない職員1人でも可能となり、自治体の判断に委ねられることになる。
「学童保育運営の『従うべき基準』の事実上の撤廃に不安を感じますか」という問いに対しては、「とても不安」が61.2%、「少し不安」が18.1%で、約8割が不安を感じていた。
具体的に不安を感じることを聞いたところ、「無資格者が1人で保育する環境が生まれ、子どもたちのケガや病気の対応が困難になる。一人ひとりの子どもや家庭との関わりが十分にできなくなる。
指導員の働く環境として、トイレにも行けない、休憩すら取るなと言われているようだ。緊急時に複数で相談したり確認することで安全性を保ってきたが、その体制自体が崩れてしまう」(大阪府・40代女性・公立公営・非常勤・16~20年)、「災害時に子どもの安全を守れない」(大阪府・30代男性・保護者会・常勤・1〜3年)など、子どもたちの安心・安全を危惧する声が目立った。
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