冨安健洋20歳、サッカー「日本代表DF」の未来像 ベルギーリーグで奮闘、将来はプレミア志望

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冨安をさらに成長させたのはアジアカップだ。決勝でカタールに敗れたものの全7試合に出場し(6試合に先発フル出場・1試合は途中出場)安定したプレーで日本の攻守に貢献した。

「日本でのキリンチャレンジカップとも違う雰囲気でしたし、アジアカップではピッチや天候が違って、初戦はとくに暑くてまったく体が動かなかったんです。個人的にはノックアウトステージに入ってから、だんだん体が動いているなと感じながらプレーできました。優勝したかった思いが強いですが、本当に充実した時間を過ごせました。でも、まだまだ上を目指してやらないといけない気持ちになりました」と冨安は悔しさもにじませる。

サウジアラビア戦では決勝点となる得点を挙げた。冨安にとって日本代表での初ゴールだ。

「自分としてはセットプレーからのヘディングという形は持っていなかった部分でしたので、ひとつ自信にはなりました。ああいった形で得点できるような選手になっていかないといけないと自分でも思っていますし、周りからも言われます。この経験をセットプレーから点を取れる選手になるための第一歩にできればと思っています」

アビスパ福岡時代の監督であった井原正巳氏(現・J2柏レイソルヘッドコーチ)からも連絡があった。

「点を取ったときなどに連絡をいただきましたし、だいたい『満足するなよ』と言われますね。当時から『得点の取れる選手になれ』と言われていました」

A代表での活躍がフォーカスされがちだが、冨安は東京五輪世代でもある。開催まであと500日をきった東京オリンピックでの活躍にも注目されるだろう。

「東京でオリンピックがあることも、その年に生まれることができたということもなかなかないので、自分たちの世代でお互いに刺激しあって、切磋琢磨しながら強くなっていきたいと思っています」と話す。

20歳の冨安への期待

最後に目標としているリーグについて聞いた。

「変わらずプレミアリーグです。U-18日本代表のときにイングランド代表に1-5で大敗して、その違いがあまりにも衝撃的だったんです。その悔しい思いから海外を意識するようになりました。ただ、まずは今を頑張ることがいちばんです」

この1年の活躍により冨安には移籍の話も少なからずきているだろう。立石CEOは「冨安をはじめ、上位リーグへのチャンスがあれば行かせてあげたい。そういうクラブであることは選手たちには伝えています」と期待を込めている。

20歳の冨安が世界を舞台にこれからどんなステップアップを果たしていくのか。引き続き注目していきたい。

(文中一部敬称略)

菊池 康平 スポーツライター

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きくち こうへい / Kohei Kikuchi

プロサッカー選手を目指して学生時代と会社員時代の夏期休暇などを利用し12カ国に挑戦。会社を1年休んで挑んだ13カ国目のボリビアでプロ契約を果たす。飛び込みで現地のチームと交渉し、テストを受ける道場破りスタイルを得意とする。現在は16カ国でサッカーに挑戦した経験を夢先生などの活動を通して子どもたちに伝えている。アスリートへの就労支援、KING GEARなどでライター活動、専門学校の講師などにも従事。

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