無駄学 西成活裕著

無駄学 西成活裕著

無駄を論じた書物というのはありそうでなかっただけに誰もが引き込まれる。

「無駄、むだ、ムダ」に分けて無駄を定義したうえで、無駄に定量的に接近しようとするなど、開拓者としての苦労がしのばれる内容である(数値化、数式化まではいっていない)。

中核をなすのは無駄という視点からみたトヨタ生産方式で、多くの経営書やノウハウ本とは違った説得力がある。山田日登志氏による無駄取り最前線の紹介も明快で、生産現場での無駄の排除を通じた物づくり日本の競争力を理解するうえでも役に立つ。そして社会、家庭の無駄へと進んでいくのだが、このあたりの著述はやや常識的で今後の深化が待たれるところだ。

時間、労働力、スペース、資源、エネルギーなど確かに世間は無駄だらけだが、注意書きの無駄、過保護などと対象を広げすぎの感もある。であれば逆に無駄の効用も議論してはと言いたくなった。ともあれ続編が楽しみな快著である。(純)

新潮選書 1050円

Amazonで見る
楽天で見る

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
  • 森口将之の自動車デザイン考
  • 若手社員のための「社会人入門」
  • 逆境からの人々
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
背水のフジテレビ<br>500日の苦闘

日枝会長が退き宮内新体制が発足してから1年半。増益に転じたが視聴率は低迷を続ける。長寿番組の打ち切りが象徴する大胆な編成改革に加え、組織もコストも抜本的に見直した。背水の陣を敷く同社の人間ドラマを追う。