「根拠なき数字目標」を掲げてしまう上司のなぜ 場当たり的な方針を上司が決める3つの理由

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こういう人は、社長の方針が変わったら、すぐに自分の主義主張まで変えるでしょう。経営企画から施策が出たら、いち早く採用するのでしょう。一見スピーディで物わかりがよさそうですが、その施策が自分の部署、ビジネスにどう影響するのか、本当に問題はないかといった検討をしません。要は社長の方針に従うのが最優先なので「忖度優先型」なのです。

理論武装した「場当たり的」本部長

3つ目の「自己優先型場当たり的症候群」のC本部長は、別の会社でお目にかかりました。この方の部署で第一に掲げられていた「戦略」は「原点回帰」。その意味を尋ねると、「そもそもわが社の創業理念は『顧客第一』です。他部署はそれを忘れてしまっている」とのこと。そして、他の部署の批判を始めました。

C本部長:彼らはターゲットごとの新商品開発とか、科学的手法の導入を声高に掲げていますが、顧客第一を忘れている。それではダメだと思うのです。
:C本部長、言い返すようで申し訳ないのですが、顧客の要望を聞いても、今の実力で応えられなかったらどうするのですか。やはり科学的手法の導入なども必要ではないでしょうか。
C本部長:そうかもしれませんが、それだけではダメなのです。基本的なことができないのでは、すぐにダメになります。
:なるほど、その基本的なことを実現するための具体的な戦術はなんでしょうか。
C本部長:それは部員が考えることです。私は基本的なものの考え方を言っているのです。

とても押しが強い人でしたので、たぶん部下は彼に「顧客第一だ」と言われると、私のように反論はできず、ただそのとおりだと聞くしかないのだろうと思いました。

彼が恐ろしいのは、誰も反論できない一般論を持ち出して、ほかの本部や本部長を批判している点です。「顧客第一」といった主張は誰も否定できないもので、問題はそれをどう実現するかなのですが、その戦術は示していません。

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