「根拠なき数字目標」を掲げてしまう上司のなぜ 場当たり的な方針を上司が決める3つの理由

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彼が否定した科学的手法こそが戦術なのかもしれませんが、「顧客第一」を掲げていないからダメなのだと抽象度を上げた一般論で否定します。一般論を大声で語り、具体論より上位に立ち、自分の主張のほうが正しいと思わせているのです。

こういう人は、会社の方向性や部下の成長を真剣に考えていません。まず自分の立場が守られるか、立ち位置が侵されないかを優先して考えるタイプです。「力学優先型」に似ていますが、自分で築いた立ち位置を理論武装している点が特徴的です。

誰でも「場当たり的」になることはある

しかもこういう人の打ち出す戦術は、対処療法的になりがちです。結局、周囲は徒労感をおぼえ、大した結果も出せずに終わるのです。

こうした「場当たり的」な言動をする人に共通するのは、会社の将来やマーケット、現場の状況を深く考えないままに、方針を出すという点です。戦術は戦略のもとに練られるべきものですが、そういうメカニズムも理解できていません。

戦略も戦術も、きちんとしたデータや論理に基づいて、言語化されなければいけないのですが、往々にして「何となく」で数値目標が定められたり、一部の人の経験則をもとに戦術が練られたり、空疎なスローガンが唱えられたりします。

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そんな指示や命令に従わざるをえないのは、自分が「場当たり的」でない人にとって極めて耐えがたいことでしょう。こういう指示や命令は、本当に必要な改革を遅らせることになるので、会社にとっては極めて危険なのは言うまでもありません。

ここでは部長クラスの例でお話をしましたが、実際にはもっと小さなレベルでも、はたまた国家レベルでも、「場当たり的」のわなにはまってしまう危険性はつねにあります。

意外と、その会社や部署にどっぷりはまっていない人のほうが、「なんかヘンでは?」といち早く気づくこともあります。会社の方針や戦略にそんな違和感を抱いたときには、「場当たり的」ではないかどうかという視点でチェックなさることをお勧めします。

北澤 孝太郎 レジェンダ・コーポレーション取締役/東京工業大学特任教授
きたざわ こうたろう / Kotaro Kitazawa

1962年京都市生まれ。1985年神戸大学経営学部卒業後、株式会社リクルート入社。2005年日本テレコム(現ソフトバンクテレコム)に転身。執行役員法人営業本部長、音声事業本部長などを歴任。2015年4月より、兼任で東京工業大学 大学院理工学研究科の特任教授として、MBA科目の「営業戦略・組織」を担当。著作に、ベストセラーとなった『営業部はバカなのか』(新潮新書)やMBAクラス教科書の『優れた営業リーダーの教科書』(東洋経済新報社)などがある。

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