「根拠なき数字目標」を掲げてしまう上司のなぜ 場当たり的な方針を上司が決める3つの理由

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話を聞いて、私は恐ろしさすら感じて、会話を打ち切りました。問題が多すぎます。まず、「8%アップ」は戦略ではなく、単なる目標数値です。しかも不振の原因を自らつかんでいません。

もしかすると、不可避の原因があったかもしれないのです。それなのに「挽回する」という方針と、数値目標だけ決めて、方策は部下に丸投げ、自分は「取りまとめ役」と勝手に位置づけて、責任を部下に押し付けています。そのうえ、大した根拠もないままに、部下に新たにノルマを課しています。

この人の言動には、独りよがりの考えや主張はあっても、組織を動かす筋道がありません。それを考えた形跡すらありません。

責任を分散させようという悪知恵

実は、こういう人の思考法の背景にあるのは「このままでは自分の評価が低下してしまう」という不安です。一方で、それを回避するためにはどうすべきか、という社内の力学には敏感です。自分が考える力がない分、部下に考えさせるという名目で責任を分散させようという知恵(悪知恵ですが)もあります。

こういう人は、前年の業績が悪いと、あえて高い目標値を掲げがちです。これによって、自分は頑張っているのだ、とアピールできるからです。仮に達成できなければ、さらに別の高い目標を再設定して、同様の志向を持つ上司にアピールし、再挑戦の機会をもらうように動くのです。これが1つ目の「力学優先型場当たり的症候群」の言動です。

2つ目の「忖度優先型場当たり的症候群」だったのは別の本部長、Bさんでした。

:B本部長は、生産性向上という方針を掲げられていますが、どうやって実現するのですか。
B本部長:それは、時間が経てば、経営企画部などから全社的な施策が下りてきます。具体的な方策はそれからですね。
:それからですか。ならなぜ第一に生産性向上を挙げておられるのですか。
B本部長:それは社長が出された全社方針です。

B本部長は、社長の方針をいち早く掲げ実行しようとしている点では、上司のウケはいいのかもしれません。しかし、自身で戦略やそれに基づく戦術を考えている気配はまったく感じられませんでした。

彼の話を要約すれば、大きな方針は社長からもらい、具体的な方策は他部署などからもらう。このまるっきり人任せな感じ、考えないで先に実行してしまうとりあえず感は困ったものです。

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