Airbnbは、なぜ旅人に受け入れられたのか 「おもてなしのプロ」が語る新しい旅の価値

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――旅行の前のやり取りが大事だと。

そうだ。ランチや観光に行く時間がないホストもいるし、ビジネスで来ているから干渉されたくない、というゲストもいる。ホストとゲストが相互に評価しあうレビュー制度があるので、レビューを読んでゲストとの相性を見極めるのも重要だ。「このゲストはパーティーが好きでわいわい騒ぐような人だけど、私は静かに過ごすタイプなので合わないだろう」とか、ゲスト側も「このホストはおとなしそうだから合わないな」とか。

――今回の来日の目的は。

ひとつがホスト向けの講義。渋谷で120人のホストを対象に行う。世界の主要な17都市を回って同じような講義を行う。

もう一つ、各都市のホストと一緒に時間を過ごしたいと思う。

――そもそも、東京でホストをしている人は、海外からの駐在員など外国人が目立つ。日本人も増やしたいのでは。

もちろんそう思っている。地元のホストを増やしたいとっており、実際に日本人のホストの数は増え始めている。今日泊まる物件のオーナーは日本人だ。昨夜は74歳の日本人女性の物件に泊まった。

日本には子どもが巣立って子ども部屋が空いているような年配の夫婦がいっぱいいる。空き部屋を有効活用すればおカネにもなるし、いろんな人が来れば退屈しのぎになるという人もいると思うので、そういう人にもホストになってほしい。

――欧州ではAirbnbの利用が活発だ。

欧州はわれわれが強い市場だ。ヨーロッパ人は、そもそも”B&B (bed and breakfast)”(朝食付きの宿)にも慣れ親しんでいるし、人を家に泊めたり泊まったりすることも盛んです。それにヨーロッパ人は日本人、米国人に比べて休みが多いので、Airbnbが広がりやすい土壌はあったのでしょう。

アパートにエアマットレス

――そもそも、このサービスはどのようにして生まれたのか。

創業者3人のうち、2人がデザイナー。彼らはアパートをシェアして住んでいたが、生活が苦しくて家賃の支払いに困っていた。サンフランシスコでデザイン見本市が開催されたときに、ホテルがどこも満室となっており、彼らはアパートにエアーマットレスを買って、ホテルにあぶれたデザイナーたちに宿泊場所を提供した。それがこの事業のスタートだ。

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