東京の不動産価格がこれから「下落」する必然 23区は住宅「選び放題」の時代が到来する

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東京の投資用不動産マーケットは世界の金融不動産マーケットの中に深く組み込まれています。ですので、これは『街間格差 オリンピック後に輝く街、くすむ街』の中で見いだそうと試みた「これから先、本当に住むべき街」というものとは、まったく別の世界の話題となります。

つまり、あくまで私たちが住んだり、生活をしたりするという「実需に基づいた不動産」という意味では、東京の不動産価格はこれからかなり下落していくというのが私の見立てです。

また、供給圧力が強くなるだけでなく、東京の人口増加ペースも鈍り、いずれ減少に転じます。人が集まらなくなるということは、それだけ住宅に対する需要も減退し、価格においては下落バイアスがかかる、ということです。

もちろん住宅の価格は人口の増減だけで決まるものではありません。

実際これまでの日本では人口の増加ペースが鈍っても、世帯数が増え続けてきました。ライフスタイルが変化し、核家族や単身世帯が増えたことがその原因です。結果、日本の世帯数は5340万世帯(2015年国勢調査)まで増え、それが住宅の価値を押し上げてきました。

しかしその世帯数すら国立社会保障・人口問題研究所の推定では2023年の5419万世帯を境に減少へ向かうとされています。

「借り手市場」「買い手市場」になる

これからの日本においては若者人口が減り、高齢者の単身世帯が引き続き増加します。ただ、後者の世帯はすでに住宅を所有しているケースがほとんどで、新たに住宅を買ったり借りたりする層ではありません。そういった意味で、若者人口が減少してしまえば、やはり住宅に対する実需が減らざるをえないのです。

「供給が増えて、需要が減る」ということは、価格は下がる。これは経済学の基本中の基本と言えます。さらに言えばこれから先、都内の不動産は「借り手市場」「買い手市場」へと転換していきます。賃貸だろうと購入だろうと、都内の不動産はエリアによっては選び放題になるでしょう。

自由度が高まるということは、都内における住まい選びの審美眼が上がることを意味します。

今までは、とにかく「会社ファースト」の考えのもと、会社にアクセスしやすく交通利便性の高い住宅を選んできたのかもしれません。しかしこれからのマーケットではもっと落ち着いて、あくまで「住む」「暮らす」ということをさまざまな角度から「考える」ようになるはずです。

会社への通勤は都内の不動産が大量に拠出されることで楽になる。加えて働き方改革の進展によって必ずしも9時から5時まで都心のオフィスで勤務することが求められなくなる。

つまり自身で使える自由な時間が増えることを意味します。そして、そうした視点であらためて東京を捉えたとき、ニーズを満たすことができる「街」、そしてできない「街」で、受ける恩恵が大きく開いてしまう。それこそが、私の主張する「街間格差」の正体です。

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