21. インド神話によると、ガンジス河は天上を流れていたが、バギーラタ王の苦行が神に認められて地に下った
22. ゆえにいまもガンジス河は神格化され、河畔にはヒンドゥー教最大の聖地である「ヴァーラーナシー」
23. 源流のガンゴートリー、平原に出るハリドワール、ヤムナー川の合流地イラーハーバード等聖地が多くある
24. 各聖地には沐浴場が設けられ、巡礼に訪れた多くの信者たちが〈罪を流し、功徳を増す〉ために沐浴を行う
25. なかでもイラーハーバード、ハリドワール、ナーシク、ウッジャインでは、各都市持ち回りで大祭を実施
26. この3年に一度行われる集団沐浴の大祭は「クンブ・メーラ」と呼ばれ、インド各地から巡礼者が集まる
27. 仏教の開祖・釈迦の生誕地である「カピラ城」は、釈迦の晩年にコーサラ国王に滅ぼされ廃城となった
28. しかし釈迦の入滅後、彼を慕う仏教僧たちによって生誕地への巡礼が行われるようになった
29. カピラ城はインド・ネパール国境付近とされるが、5世紀には中国僧・法顕、7世紀には玄奘なども巡礼した
30. 彼らは文書で記録を残したが、同地域でヒンドゥー教やイスラム教が信仰されるようになると巡礼は中断
31. 15世紀にはカピラ城の位置すら不明になり、釈迦が生まれたとされるルンビニへの巡礼も途絶えた
長い間中断されていた仏教の巡礼が復活
32. しかし1956年、インドの政治・思想家ビームラーオ・ラームジー・アンベードカルらが仏教復興運動を開始
33. 彼らの呼びかけでインド国内に数十万人の仏教徒が現れ、仏教の巡礼も再び行われるようになった
34. 生誕地ルンビニ、成道したブッダガヤ、説法を開始したサールナート、入滅地クシナガラが四大聖地とされる
35. チベット仏教では、中国チベット自治区にある「カイラス山」が聖地とされ、その山への巡礼が行われる
36. カイラス山は標高6656mの未踏の独立峰だが、現在も信仰の山であるため登頂許可は下りない
37. しかしチベット仏教の聖者ミラレパが山頂に達したという伝承が残っている
38. この山には12年に一度、〈神々が集う〉とされ、その年は聖なる年として大規模な巡礼が行われる
39. チベット仏教徒たちは山の周囲の巡礼路を〈右回り〉に歩いて巡礼するが、熱心な信者は「五体投地」で進む
40. 五体投地とは仏への絶対的帰依を示す最も丁寧な礼拝方法で、両手・両膝・額を地面に投げ伏して礼拝する
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