81. この大聖堂には巨大な振り香炉があり、毎週日曜の巡礼者のミサと儀式の際には大量の香が炊かれる
82. 巡礼旅の途中で病に倒れた人や宿を求める人を世話した小規模な巡礼教会が「hospice(ホスピス)」である
83. 「hospital(ホスピタル)」はそこから派生した言葉ゆえ、病院のみならず老人ホームや孤児院も意味する
84. イスラム教ではサウジアラビアの「メッカ」にあるカアバ神殿に徒歩で向かうことを最大の巡礼としている
85. この巡礼はイスラム教の五行のひとつで「ハッジ」と呼ばれ、行程は多少異なるが各宗派の信徒が共に参加する
86. 目的地であるカアバ神殿の東角には聖宝「黒石」が置かれ、石の由来はアダムとイヴの時代にまで遡るという
87. ヒジュラ暦で12番目の月を「ハッジの月(巡礼月)」と呼び、この月にカアバを巡礼することを大巡礼という
88. イスラム教において巡礼は体力的・経済的に可能な者の場合、一生に一度は行うよう義務付けられている
89. 無事に巡礼を果たしたイスラム教徒は「ハーッジー」と呼ばれ、特に尊敬される
90. 例年ハッジの月には数百万人の巡礼者が集まるが、現在ハッジの希望者は受入可能人員をオーバーしている
91. そのためハッジに参加するには、メッカを管理するサウジアラビア政府が発給する特別ビザが必要である
92. イスラム教のメッカ巡礼は聖典コーランに定められたもので教徒以外の立ち入りは厳しく禁止されている
巡礼者を限定しない巡礼も
93. 一方、日本で江戸時代に流行した「伊勢参り」や「熊野詣」「富士講」のように巡礼者を限定しないものもある
94. 江戸を中心とした民間信仰のひとつ「富士講」は、富士山への登山巡礼を目的に富士五湖や白糸の滝を巡った
95. そこまで行けない場合は、住まいの近くに富士山を模した「富士塚」を作り、そこに上ることで代わりとした
96. 交通網の発達で次第に巡礼も観光色を強めていくが、1970年代以降、急速に人を集めているのが「セドナ」だ
97. アメリカのセドナは古来ネイティブアメリカンの聖地で、彼らにとってこの地に立つこと自体が重要儀式であった
98. 11世紀にはハバスパイ族が暮らし、彼らは先祖からのエネルギーや波動を受けられる特別な地としていた
99. しかし1876年に白人が入植し、1970年代にはニューエイジな人々がパワースポットとして巡礼をスタート
100. 現在では宗教にこだわらない〈スピリチュアルの聖地〉として世界から年間400万人以上の巡礼者が訪れる
(文:寺田 薫/モノ・マガジン2019年4月2日号より転載)
「遍路と巡礼の社会学」(人文書院)四国おへんろnet、日経スタイルほか関連HP
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