01. 「巡礼」とは、日常の生活空間を一時的に離れ、宗教の聖地や聖域などに参詣する宗教的行動のこと
02. 〈聖なるもの〉により近づくことを目的にし、いまも世界の多くの宗教で重要な宗教儀礼とみなされている
03. なかでもその宗教の信者が広域に分布している宗教においては、とりわけ大切なものと位置づけられる
04. 英語では「pilgrimage(ピルグリミッジ)」ドイツ語では「pilgerfahrt(ピルゲルファールト)」と訳される
05. これらは〈通過者〉や〈異邦人〉を意味するラテン語の「peregrinus(ペレグリーヌス)」に由来している
巡礼の根本は「聖地に赴くこと」
06. この語源が示すように、巡礼の根本は自身の居住地を離れ「遠方の聖地に赴くこと」にある
07. よって、各信者の居住地にある教会や聖堂、寺社といった宗教施設に赴く行動を〈巡礼〉と呼ぶことはない
08. 日常空間から離脱して非日常な聖空間に入り、聖なるものに触れた後、再び日常空間に復帰するのである
09. 巡礼は未開な宗教よりも、世界的宗教において一層盛んに行われている
10. ユダヤ教徒にとってはエルサレムにかつて存在した「ソロモン神殿」が最重要聖地であった
11. ヘブライ語聖書によるとソロモン神殿は紀元前10世紀頃、イスラエル王国の王ソロモンによって建設
12. この神殿には『旧約聖書』に登場する十戒が刻まれた石板を納めた「契約の箱」があるとされる
13. 当時から、ペサハ(過越)、シャブオット(七週の祭り)、スコット(仮庵の祭り)の際には巡礼が行われた
14. ソロモン神殿への巡礼はユダヤ教徒の成人男性に限られ、彼らはコルバン(供物)を捧げて祈った
15. しかしその後ソロモン神殿は破壊され、第二神殿、ヘロデ神殿と再建されるも70年アグリッパ2世軍が殲滅
16. 以来、再建は果たされずヘロデ神殿周囲の西側外壁の一部である「嘆きの壁」がユダヤ教徒の巡礼地となった
17. 現在のユダヤ教ではほかにも『創世記』で民族の父母と呼ばれる6名が埋葬されたとされる「マクペラの洞穴」
18. 「ツァッディークたちの墓」「メロン山」「ベツレヘム」などが巡礼地とされている
19. ヒンドゥー教の巡礼は、聖地であるインドの「ガンジス河」に赴き、河の水で体を洗い清める沐浴を行う
20. ガンジス河はヒンディー語やサンスクリット語で「ガンガー」と呼ばれ、これはヒンドゥー教の川の女神の名
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