日本企業が「非効率な面接」をやめられない事情

「安上がり」「前例踏襲」がもたらす思考停止

そのほかの採用選考の方法としては、すでに多くの企業が採用しているSPI(Synthetic Personality Inventory/総合適性検査)があります。これは就活・転職サイトの運営で知られるリクルートキャリアが開発した適性検査で、仕事をするうえで必要となる基礎的な能力や、志望者の人柄や行動、考え方がわかるとされています。

面接よりも妥当性が高いことは証明されているものの、ネックは1人あたり5000円程度のコストがかかること。そうなると「自社の社員を面接官として駆り出せばいい。そのほうが安上がりだ」と企業が判断するのもやむをえないかもしれません。

このように採用選考の方式はさまざま存在するのですが、どれも一長一短で完璧とは言い難く、結局は使い慣れた従来どおりの方法を用いるケースが多いのです。いまだに面接が重宝がられている理由には「これまでもそうやって採用してきたから」という、ある種の思考停止や惰性も多かれ少なかれ影響しているように思えてなりません。

「人物重視」ではなく「面接重視」な現状

採用手法として面接がなくならないのは、多くの企業が採用方針として掲げている「人物重視」が、いつのまにか「面接重視」にすり替わってしまっていることも一因です。

多くの企業がウェブサイトの採用情報ページや説明会で「わが社は『人物重視』の採用を行っています」といったことを宣言しています。あなたも就活する中で何度も見聞きしているのではないでしょうか。

企業としては、大学のランクや学業の成績、筆記試験の結果ではなく、人柄や人間性を重視して人材を集めたい。そのために面接に力を入れている――とアピールしたいのでしょう。とはいえ、人物重視を実現するために面接という手法を用いているのだとしたら、それはまったくの誤りです。

繰り返しになりますが「人物を見極める」という営みにおいて、面接という手法が不正確であり、妥当性も低いことは科学的にも証明されています。本当の意味での「人物重視」を目指すのであれば、その職種に適した採用手法でふさわしい人物を選ぶほうが理にかなっているはず。しかし現実には「人物重視」という大義名分を掲げて、画一的な面接という手法が相も変わらず重視され続けているのです。

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