福岡で異色ママの「交流バー」が盛り上がるワケ 先生・副市長・会社員・主婦の「バー○○」人気
例えば、1月は鯨ベーコンや牛たたき、海鮮巻、柏餅とおはぎ、揚げたて唐揚げ、大皿いっぱいのあまおうなどがテーブルに並び、参加者から歓声が上がっていた。
「市場の皆さんが心づくしの食材を提供してくださって、参加者はおもてなしに感激され、市場を盛り上げるアイデアを出してくれる方も。こうしてお互いを思う心の通い合いがうれしくてたまらない。
ここは食材の良さはもちろん、市場の皆さんの一体感とあたたかい人情も自慢の、世界に誇れる市場なんです。市場で過ごす時間が皆さんの幸福感や活力につながれば」と裕子さんはやりがいを感じている。
ほかにも、福岡市東区の住宅街で開かれる「バーなな」は、子ども食堂を切り盛りする主婦の桐島美香さんが「シニアが集まれる場所を作ろう」と地元の集会所で月1回開催。福岡県福津市の「バー美幸」は、副市長の松田美幸さんが「世代や立場を超えて、みんなで気軽に話せる場」として市内各所で開いている。
主催者が楽しみながら多彩に広がる「バー○○」
現在、中村さんとつながりのある「バー〇〇」は全9店。もともとの知人をはじめ、バー洋子に参加されたり、「自分もバーをしたい」と相談されたりしたことで、知り合ったケースもある。
「地域によっていろいろなスタイルがあるけれど、バー洋子で決めていた2つの約束はだいたい引き継がれているようです。私はやりたい人がやりたい形でやっていけばいいと思っています。主催者が無理せず、楽しくできる範囲でやることが大切。
まちづくりや地域活性化とひと括りにされることもあるけれど、私自身は目の前の『もう少しこうなったらいいな』という思いをきっかけに楽しく続けることで、結果として何かが生まれるのかなと考えています」と、洋子ママに気負いはない。谷口オーナーは「毎月やることで価値が出てきたと感じています。仕事帰りに寄ってみよう、またあの人に会えるかな、次はこの人を紹介しようと、思いがつながっていきますから」と話す。
人と人とのつながりが希薄になっていく時代において、家庭でも職場でもない“第3の居場所”が求められているのではないだろうか。自分の好きな飲み物と食べ物を持ってふらりと行けるバーは、高齢者や子連れ、アレルギーがある人、ベジタリアンの外国人など、誰にとっても参加しやすい。
福岡の女性はノリがよく活動的で、世話好きが多く、横のつながりも広い。福岡を中心に各地で続々と誕生しているバーが、やがては地域に即した拠り所として根付き、あるいは形を変えて、まちや人に安らぎや活気をもたらしていくことだろう。
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