30歳「貯金ほぼゼロ」非会社員の彼が夢見る境地 就活は全滅、フリーライターで名を上げたい

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「部屋を解約するとき彼を何とか探し出してお金を返してもらう約束をしたのですが、結局1円も返ってきていません。シェアするはずの部屋に1人で住んでいた頃は、Webライターの仕事もうまくいっているとはいえませんでした。

ヒット記事を出すのにヒィヒィ言っていて、筆も遅いので取材と原稿で1日が終わっている。某編集部との連絡はチャットでのやり取りだったので、人と話すのはたまにある取材時とコンビニ店員と図書館の職員くらい。そしたら、どんどん病んでいって、人生で初めてストレス性のアトピーを発症しました。3Kの部屋でひたすら顔を引っ掻いたりはたいたりする癖がついてしまいました」

貯金はほぼゼロ、それでも結婚して親孝行したい

その後、3Kの部屋は解約。今は5万1000万円の部屋に住んで、某Web編集部でアルバイトをしながらフリーでも仕事を請け負っている。Web編集部のバイト代が月に手取り20万円、そして月によってフリーでも5万円ほど稼ぐ。貯金はほぼゼロだ。税金も滞納しており、今月は家賃も滞納してしまった。

「こないだ、念願だった同人誌を出したんです。著名なライターさんから寄稿していただき、いざ入稿!となったとき通帳にも財布にもお金がないんです。慌てて隣で酔っ払って寝ていた編集部員を起こして5万円を借り、印刷しました……。その5万円はちゃんともう返しましたよ!」

今後の恭平さんの目標はもっと稼ぐことだ。30代のうちに年収600万円を目指している。そして、そこには切ないワケがあった。

「実はちょっと前、彼女に浮気されて別れてしまったんです。浮気相手は安定した職の人でした。つまり、僕と生活をすることを考えるとお金の面で不安ということが根底にあったのだと思います。一緒に人生を歩める妻が欲しいし子育てもしたい。もし、子どもができなければ養子を取りたいです。そのためにももっとライターで稼ぎたいです。あと、親にさんざん迷惑をかけてきたので親孝行もしたい。

こないだ、62歳になる母が東京に遊びに来たので案内したのですが、自分の中では40歳くらいだった母の顔にシワやほうれい線が刻まれ、口角も下がっていて、『年を取っているぞ』と実感しました。それを見て以来、僕自身も鏡に向かって口角が下がっていないかチェックするようにしています。僕はきちんと年を取っているぞ、と意識しないといつの間にか40歳になって子どもも育てられなくなるかもしれない。母に子どもを見せて喜んでもらうためにもお金を増やしたいです」

筆者自身、ライターに興味のある人からフリーライターでどれくらい稼げるのか聞かれることがあるが「ピンきりです」としか言えない。今回の恭平さんの話は自分自身にも重なる部分があり、ひとごとではないと身が引き締まる思いだった。

姫野 桂 フリーライター

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ひめの けい / Kei Himeno

1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをしつつヴィジュアル系バンドの追っかけに明け暮れる。現在は週刊誌やWebなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好きすぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。趣味はサウナ。

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