新婚41歳女性が「お金と妊活」で苦悩するワケ 一回り年下の夫と暮らす幸福の一方で…

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もう一つの課題は、出産と子育てだ。結婚してから自然に4回妊娠したが、残念ながらいずれも流産してしまった。

「不育症だと診断されています。私は血が固まりやすい体質で赤ちゃんに栄養が届きにくいのです」

年齢のこともあり、奈菜さんは1カ月でも早く再び妊娠をして出産したいと思っている。そのために病院で診察を受けて薬も飲んでいるが、和也さんが妊活を嫌がるようになってしまった。

「妊娠しやすい日を計算したピンポイントが嫌みたいです。子どもは欲しいそうですが『今は嫌』なんて言っています。私には時間がないのに……。子どもを諦めるしかないのでしょうか」

筆者が以前に取材をしたことがある産婦人科医は、「夫婦ならばピンポイントではなく週に3回にしましょう。そうすればタイミングなど考えなくても妊娠します」と語っていた。このアドバイスを採用するにしても、今の和也さんには「はいそうですか」とはなかなかいかないかもしれない。

大事なのは「工夫と納得」

もちろん、子どものためだけの夫婦関係ではない。奈菜さんは夜になって和也さんがアルバイト先から帰ってくるたびに「結婚してよかった」と感じている。

「私はライブなどがあるとき以外は家で仕事をしています。でも、寂しがりなので一人でいるのが嫌いなんです。フリーランスは孤独ですよね。結婚して寂しくはなくなりました」

筆者もフリーランサーなので奈菜さんの気持ちはわかる。家で原稿を書いていると(今もそうだ)宅配の人以外とは話す機会がない。気楽だけど寂しい。夕方になって妻が会社から帰ってくると、嬉しくなって犬のように玄関まで駆け寄ってしまう。そして、昼ご飯は何を食べたのかなどを報告する。朝からほとんど声を発していないので、「音量がおかしいよ」と指摘されたりする。

夕食をとりながら酒を飲み、妻が会社で食べた昼ご飯の話などを聞いているとようやく気持ちがほぐれてくる。もし今でも独身一人暮らしだったらどうしていたのかはあまり想像できない。

結婚には「我慢と諦観」が必要だといわれがちだ。しかし、たくさんの晩婚さんを取材していると、大事なのは「工夫と納得」なのだと感じる。奈菜さんと和也さんのケースでいえば、金銭管理にしても子作りにしても工夫の余地はまだあると思う。年上で有能な奈菜さんが和也さんをリードすることがポイントだろう。

そのうえで、今ある幸せをかみしめて、結果を受け入れる。諦めではなく納得だ。3年後ぐらいに奈菜さんとまた語り合ってみたい。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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