アントラーズがサッカー場の席数減を考える訳 4万人収容スタジアムから大幅に減らしたい

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鈴木:確かに、そのとおりなんですよね。そのような考え方はヨーロッパのサッカーでは当たり前になっているんです。経営者などのエグゼクティブである2割の人たちの入場料収入が全体の収入の8割を占めるという考え方なんですね。これは2・8の理論と呼ばれていますよね。だから、ヨーロッパのスタジアムに行ったりすると、こうした人たちが満足するような豪勢なつくりになっている。

ヨーロッパのVIP席って、エアラインのビジネスラウンジみたいな雰囲気がある中で、美味しいビュッフェがあって、試合が終わっても楽しく飲み続けているわけですね。僕らも同じことをやりたいんだけど、日本のスタジアムは公共の施設だから、変えるのは大変ですね。

中原:新しい知事(大井川和彦氏)は賛同してくれますよ。彼はけっこう変わった人ですから(笑)。

2万5000人にしたほうが満足度も利益も極大化できる

鈴木:どうかなあ。許可してくれるかなあ。でも、スタジアムとは別のところでは、今でもある程度自由にできていて、病院をやったりフィットネスをやったりしています。それから今、温浴施設を造っているんだけど、僕らはそこまで投資しないとお客さんのニーズに応えられないんですね。

実は、これからやりたいのは、スタジアムのキャパシティを大幅に落としたいということ。僕は今の4万人のキャパシティは非現実的だと思っていて、2万5000人まで落としたいのです。

中原:それはいい考えですね。人口減少社会に対応した戦略として、これからの時代にマッチしていると思います。

鈴木:そうそう。もうワールドカップはやったし、今度はオリンピックもやるし、世界の大会を開催するっていう1つの目的はもう果たしたから、ワールドカップやオリンピックを開催するキャパシティをずっと維持しなくてもいいと思っています。そのうえで、鹿島アントラーズが最大利益を得るための形を考えていく必要があります。

中原:そのとおりですね(笑)。

後編に続く。後編「アントラーズが「観光業」までやってしまう理由」は4月14日配信の予定です。

中原 圭介 経営コンサルタント、経済アナリスト

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なかはら けいすけ / Keisuke Nakahara

経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。経済や経営だけでなく、歴史や哲学、自然科学など、幅広い視点から経済や消費の動向を分析しており、その予測の正確さには定評がある。「もっとも予測が当たる経済アナリスト」として評価が高く、ファンも多い。
主な著書に『AI×人口減少』『これから日本で起こること』(ともに東洋経済新報社)、『日本の国難』『お金の神様』(ともに講談社)、『ビジネスで使える経済予測入門』『シェール革命後の世界勢力図』(ともにダイヤモンド社)などがある。東洋経済オンラインで『中原圭介の未来予想図』、マネー現代で『経済ニュースの正しい読み方』、ヤフーで『経済の視点から日本の将来を考える』を好評連載中。公式サイトはこちら

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