「吉野家」と「すき家」、明暗分けた戦略の違い 業績を左右したのは値上げだけではなかった

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

だが、値上げ以外でも、両社の戦略は意外なほど異なる面がある。特徴的なのは、新商品の投入サイクルだ。

すき家は1カ月~1カ月半の周期で期間限定商品を発売する。2018年度には、通常の牛丼の上にトッピングを載せた「お好み牛玉丼」や「食べラー・メンマ牛丼」を投入した。中でも、2018年12月から発売した「白髪ねぎ牛丼」は、「旨白ダレ」と「旨辛ダレ」の2本立てで販売したことが顧客の支持を受けた。

これら限定商品の価格は480~500円と、通常の牛丼よりも高い。「今は比較的、高付加価値の商品を受け入れてもらいやすい環境にある」と、ゼンショーホールディングスの広報担当者は話す。

吉野家は既存店売上高の前年割れ続く

その結果、すき家の既存店売上高(2018年4月~2019年1月)は前年同期比3.3%増と、会社計画の年間2.9%増の水準を上回って推移している。客数は0.7%増とわずかな増加にとどまったが、客単価が2.6%上昇し、売上高を押し上げた。

一方の吉野家は苦しい。足元の既存店売上高は、今年1月まで4カ月連続で前年割れが続いている。

既存店は2018年8月までは高い伸びを見せていたが、豪雨や台風など天候要因に加え、店舗の作業負担に配慮し、高単価の定食や「豚スタミナ丼」など、昨年人気だった商品を投入しなかったことがマイナス要因となった。価格を据え置いて客数を取りに行ったものの、そもそもすき家ほどには新商品を販売していないうえに、投入を控えたことが“あだ”となった。

次ページ吉野家のクーポン配布は不発に
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事