飲み屋で「愚痴る」のが必ずしも悪でない理由

問題発見能力を身につけることが重要だ

コンセプチュアル・スキル(概念化能力)とは「組織の諸機能がいかに相互に依存し合っているか、またその内のどれか1つが変化したとき、どのように全体に影響が及ぶかを認識することであり、個別の事業が、産業、地域社会、さらには国全体の政治的、社会的、経済的な力とどのように関係しているかを描けること」を指します。

簡単に言えば、「コンセプチュアル・スキル」とは「物事の関連性を捉える力」と言い換えることができます。

物事を注意深く観察したり、組織のメンバーのコミュニケーションを改善したりして得たあらゆる情報から、点と点を結びつけて関連性を導き出すことが、適切かつ根源的な問題を発見することにつながるのです。

コンセプチュアル・スキルがあると、見える景色・世界が大きく変わってきます。経営学者の三品和広先生は、著書『戦略不全の論理』の中でこのように述べています。

「例えば工場の床に落ちているボルトを見て、ただのボルトと受け止めるのか、『清掃』の不行き届きと見るのか、そこに労災の可能性を見るのか、ボルトがそこから抜け落ちたはずの機械の故障を心配するのか、はたまた職場規律のゆるみを感じ取るのか、これは人が持つ基本辞書次第である」。基本辞書次第で見える景色・世界は大きく変わります。

「コンセプチュアル・スキル」を伸ばす

ここまで述べてきた「コンセプチュアル・スキル」とはアメリカの経営学者であるロバート・L・カッツ先生が1955年に発表した論文の中で用いた概念です。同論文の中でカッツ先生は、管理者に必要なスキルにはこの「コンセプチュアル・スキル」に加え「テクニカル・スキル」「ヒューマン・スキル」という3つのスキルがあると指摘しています。

テクニカル・スキルとは、「特定の専門分野における固有の知識やテクニック、手続きに基づいて問題解決するスキル」のことです。例えば、医師や音楽家、公認会計士、エンジニア、職人など、スペシャリストと呼ばれる人々は高度なテクニカル・スキルを持っています。

ヒューマン・スキルとは、「人と関わって物事に取り組むときに必要となるスキル(対人能力)」のことです。

多くの場合、テクニカル・スキルは出発点であり、ある領域でスキルを構築していくためにどうしても必要となる「言葉」や「文法」のようなものです。英単語や英文法を知らずに、「英語で考える」ことはできません。

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ですから、先に「言葉」や「文法」を学ぶ必要があります。ヒューマン・スキルは全般的に必要なスキルです。また、より高いコンセプチュアル・スキルを習得できれば、逆にそれに応じてより高いテクニカル・スキルとヒューマン・スキルを得ることができます。

これらの3つのスキルの中でもコンセプチュアル・スキルはとくに普遍性の高いスキルです。物事を総合的に見るコンセプチュアル・スキルは、横展開することができます。つまり、ほかの分野で使うこともできますし、環境が変化しても使うことができます。

大手企業などで取り入れられているジョブローテーションは、コンセプチュアル・スキルを高めるトレーニングとして効果がある方法の1つです。立場を変えて業務に取り組むことで、新たなテクニカル・スキルを獲得できると同時に、統合する力、つまりコンセプチュアル・スキルが向上します。

そう考えますと、「希望しない部署に配属されるのは嫌だ」「花形部署にずっといたい」という方は、もしかしたら会社の窮地を救うかもしれないコンセプチュアル・スキルを高める機会を失っているのかもしれません。多くのことをチャンスと捉え、それを「自分事」として取り組むことが求められています。

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