飲み屋で「愚痴る」のが必ずしも悪でない理由 問題発見能力を身につけることが重要だ
「問題発見能力」とは何か?
あなたは、居酒屋で同僚らしき人々がお酒を飲みながら会社や上司の不満をこぼしている光景を見たことはないでしょうか。
「今回の決定には納得がいかない」
「社長は現場のことがまったくわかっていない」
「うちの組織って、硬直していてフレキシブルに動ける仕組みになっていない」
そして、ひとしきり愚痴や不満を言い合って鬱憤を晴らした次の日は、また何事もなかったかのように会社で同じように働いている光景を。
愚痴や不満をこぼすことは決して悪いことではありません。なぜなら、この愚痴や不満の正体は、理想と現実の間に生じたギャップだからです。「本当はこうあるべき」「もっとこういう会社にしたい」という理想を持っている人ほど、現実とのギャップに悩み苦しみます。また、愚痴や不満をこぼすということは理想の状態を知っていて、それに対する知識がある証拠でもあります。
1978年にノーベル経済学賞を受賞したハーバート・A・サイモン先生は、『意思決定の科学』という著書の中で、問題とは「目標(あるべき姿)と現状の間のギャップ」であると述べています。愚痴や不満をこぼせるということは、ある意味、この問題(もしくはその種)を発見できているわけです。
しかし、居酒屋で語られるこれらの問題は、関心を持たれているにもかかわらず、なぜ解決に至らないのでしょうか? 多くの場合、それは問題の立て方に原因がありそうです。
「経営陣がダメだ」「組織運営が悪い」と問題点を見つけるだけならば、それ自体は比較的、簡単なことです。しかし、実際は手当たり次第に問題点を挙げるだけでは、問題を解決することはできません。
問題が解けるか否かは、問題の設定の仕方で大抵決まります。漠然とした問題意識や目についた問題点は、「解くに値する適切な問題」に落とし込む必要があるのです。では、「解くに値する適切な問題」とは何なのでしょうか。