年収180万円が当たり前の未来に生き残る知恵 「自分の労働」以外で稼げる道を見いだせるか
そうなると2020年代は、世界の経済学者が警告してきたとおりの時代、先進国の中流崩壊が本格的な社会問題となる時代になるでしょう。すでにアメリカでは中西部の中流層が崩壊し、ラストベルト(赤さび地帯)と呼ばれる経済衰退地帯が広がったことで、金融で儲かる東海岸、ITで成長する西海岸との間で世論が分断されるようになりました。
トランプ政権はこのラストベルトを支持母体としていて、いわゆるエスタブリッシュメントからは厳しい攻撃を受けながらも、凋落を始めた元中流階級からは強い支持を得ています。
日本人の多くは人的資本以外のお金の稼ぎ方を知らない
さて、日本でも本格的な中流崩壊が起きたら、私たちはどう生きていけばいいのでしょうか。世の中の仕事の多くがマックジョブ化し、年収180万円前後の新下流層と呼ばれる階層が先進国のスタンダードになる時代です。これまでのような年収400万円の暮らしは維持できなくなりますし、住宅ローンも教育ローンも返済のメドが立たなくなる。いったいどうやってライフプランを立てていけばいいのでしょうか。
着眼点は、AIが奪った富を、実は資本家が吸い上げているという事実です。
アマゾンという会社があります。私たち消費者にとっては非常に便利で新しい生活体験を次々と提案してくれるすばらしい会社です。しかしそこで働く労働者からは徹底的に搾取をする企業としても知られています。
「だとしたらアマゾンのおかげで儲かっているのは資本家だけじゃないのか?」
2009年、リーマンショックで経済が崩壊した当時にそう考えてアマゾン株を購入した知人がいました。彼はその後の10年間で資産を30倍に増やすことになりました。アマゾンはリーマンショック後の世界で経済規模を拡大していき、その株価はアメリカ市場のトップ3に入る規模まで上昇していったのです。
ここに私たちへのヒントがあります。
私たちはお金を稼ぐために2つの資本を持っています。それは人的資本と金融資本です。人的資本とは私たち自身の労働のことです。朝、会社に出勤して夕方まで、週休2日で働いて毎月給料をもらう。これが人的資本の働きです。
実はほとんどの日本人はこの人的資本に依存して生活しています。お金を稼ぐのは自分の頭脳と身体が働いた分だけ。それ以外のお金の稼ぎ方を知らないまま、昭和の時代の高度成長期に中流階層が拡大した恩恵をそのまま享受して暮らしてきたのが大半の日本人です。
しかしその人的資本の価値が2020年代を通じて激減するというのが今、私たちの目の前にある危機です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら