アメリカで拡大する「リバタリアニズム」の正体 従来の2大政党に反対する有権者たち

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──日本でもリバタリアニズムは広がりそうですか。

日本は明治維新をきっかけに中央集権型で歩んできたため、国家の求心力が強い。そういった歴史的な背景を持つため、リバタリアンの考え方というのは非現実的に捉えられてしまいます。

ただし、日本経済の成長が続いた時代が終わった今、「政府が本来果たすべき役割とは」「最低限取り組むべき機能とは何か」を一度見つめ直す必要がある。そういったときに、政府をどこまで頼っていいのか、と思考実験するうえでも最小国家を目指すリバタリアンの考え方は役立ちます。

──リバタリアニズムは今後も支持を広げていくのでしょうか。

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若者を中心にリバタリアン志向が高まっており、共感や理解は広がるでしょう。背景にはテクノロジーの発展があります。「自律・分散・協調」が根底にあるインターネット、脱中央集権的な仮想通貨、ブロックチェーンなど、既存の国家の枠組みを超えられるテクノロジーとリバタリアンの目指す自由とは親和性が高い。「リバタリアン」という言葉を使わなくても、リバタリアン的な考え方に共感する若者も多いのでは。

とくにミレニアル世代は、20年のアメリカ大統領選挙で最大の有権者集団となります。実際、トランプ氏が勝った16年の大統領選では、リバタリアン党の一般得票率が3.28%と過去最高に達しました。それまでの得票率は約0.5%でしかありませんでした。ミレニアル世代が社会の中心となる中、リバタリアンの考えに近い方向へと世の中が変化していくのではないでしょうか。

政党としてリバタリアン党がアメリカ政治に強い影響力を持つことは今後もないでしょう。しかし、2大政党がせめぎ合うとき、リバタリアンの候補者がキャスティングボートを握り、影響力を強める可能性はあると思います。

林 哲矢 東洋経済 記者

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はやし てつや / Tetsuya Hayashi

日本経済新聞の記者を経て、ハーバード大学(ケネディスクール)で修士号。『週刊東洋経済』副編集長の後、『米国会社四季報』編集長。

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