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アメリカで拡大する「リバタリアニズム」の正体 従来の2大政党に反対する有権者たち

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──なぜリバタリアニズムへの支持が広がっているのでしょうか。

既存の2大政党への反発があります。リバタリアンからすると、例えば同性婚やLGBT(性的少数者)に寛容な民主党の政策は、個人的自由という視点からは認められる。だが、経済的自由の観点からは、政府の権限を大きくしすぎている。一方の共和党は、ビジネス重視の経済面はいいけれど、軍事費の拡大で財政赤字が増えている。また、同性婚などには不寛容。経済、社会の両面から自由を追求するというリバタリアンの原則からすると、民主、共和がせめぎ合う今のアメリカは道を踏み外していると見えるのでしょう。

「右だけじゃなく、左も悪い」

──リバタリアンは、既存の保守派である右、リベラル派である左の両方をも批判している、と。

渡辺靖(わたなべ やすし)/1967年生まれ。アメリカ・ハーバード大学で博士号(社会人類学)取得。イギリス・オックスフォード大学シニア・アソシエートなどを経て現職。専門はアメリカ研究、文化政策論。『アフター・アメリカ』『アメリカン・デモクラシーの逆説』など著書多数。(撮影:今井康一)

リバタリアンは現在の世界の状況について、自由が失われていると危惧しています。背景として2つ挙げられます。

1つ目はアイデンティティーの政治(アイデンティティーに基づく集団利益を拡大する政治運動)。右派でいうと、人種主義や排外主義のような動きです。一方の左派では、ポリティカルコレクトネス(政治的正しさ)です。黒人自らが権利を主張するのは受け入れる一方、白人が同じような主張をするのは「白人至上主義」と問題視する。そういったアイデンティティーの政治に訴えて、言論空間を窮屈なものにしている。2つ目はポピュリズムです。この2つが結び付いたものがトランプ現象ともいえます。

リバタリアンは既存勢力の左右どちらをも批判し、「右だけじゃなく左も悪いんだ」という立場を取っています。現在の政治の混乱を見ると、リバタリアンの主張には一理あるといえるでしょう。

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