「恋活アプリ」が世界中で増殖し続ける理由 最大手・マッチグループの幹部を直撃した

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――「ポスト・スマホ」の時代に、マッチングサービスはどのように進化するでしょうか。社内ですでに話し合われていること、取り組まれていることはありますか。

もちろんさまざまな議論をしている。世界には今6億人のシングルがいる。毎日新しいシングルが生まれているわけだし、離婚率は上がり、晩婚化も進んでいる。彼らに提供できるサポートはまだたくさんあり、将来このニーズが減ることもなさそうだ。一方で、技術はものすごいスピードで進化している。それらを活用してどう体験を変えていけるか、素早く見極めなければならない。

AIデートコーチングサービス「LARA(ララ)」は画面での操作に加え、スマートスピーカーを通じ音声でもやり取りできる(写真:マッチグループ)

ヨーロッパにはそういった先端技術に特化した開発チームを持っており、ポスト・スマホといえるサービスもすでに出している。その中の1つが、ミーティックのアプリとセットで展開している、AIデートコーチングサービス「LARA(ララ)」だ。

スマホ以外にも、グーグルのスマートスピーカーなどを通し、声だけでアクセスできる。たとえば「今日のデートの場所はどこがオススメ?」と尋ねれば、ララがユーザーに「どんな相手か」を問い、その答えに沿ってデートの場所のレコメンドをしてくれたり、デートに向けたアドバイスをしてくれる。すでに12言語に対応済みだ。

ただ結局、声だけだと限界もある。ララが送ってくれた情報や、相手の容姿を確認するには、今の時点ではスマホの画面を使うほうが便利だろう。最近はスクリーン付きのスマートスピーカーも出てきているので、今後はボイス×ビジュアルという組み合わせでできることは増えていくかもしれない。

やり取りを始めるきっかけを提供する

――「ペアーズで出会ったのに別れてしまった」という不満を持つ利用者も一定数いるはずなので、新技術でマッチング精度やその後のデートの成功率が上がるのは素晴らしいことだと思います。一方で出会いというのは、うまくいきすぎても気持ち悪いというか、面白くない面もある気がします。サービス提供者として、この点をどう感じますか。

確かにそうかもしれない。サービス提供者として大事にしているのは、「ミッションに忠実に」という一点だ。そのミッションとは、「世界中のシングルに意味のある出会いを提供する」こと、中でも「そのスタートをサポートする」こと。誰かとつながり、やり取りを始めるきっかけを提供してあげるのがわれわれの役目だと思っている。

そのためのテクノロジー、ノウハウ、経験はどんどん蓄積し、サービスは磨き続けるが、出会った先は基本的に「お二人の間で」というスタンスだ。二人の人間が出会うと、楽しいことも悲しいことも、いろいろなことが起きる。それはマッチングサービスに限らず、どんな出会いでも同じことだ。二人だけの物語を楽しんでもらいたい。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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