「田舎の長男」が直面する"家庭不和"の根本背景 「ママはおじいちゃんが嫌い」にピリピリ

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ご両親と話し合いをする前に、解決しなければならない問題があります。東北太郎さんが薄々気づかれているように、「夫婦の馬が合わない」ことです。今の日本ではほとんどの人が恋愛を経て結婚をします。だから、多くのカップルが結婚後にお互いに不満を持つようになるのです。どういうことなのか説明していきます。

恋愛は非日常です。東北太郎さんもかつては一生懸命にデートコースを考えて、非日常を演出していたのではないでしょうか。プロポーズから結婚式の日まで非日常は続きます。しかし、結婚とはまさに日常そのものです。よりわかりやすくいえば、共に“生活”していくことこそが、結婚の本質だと言えます。

夫婦で諍いが起こると、どちらも、恋人だったあの頃のことを思い出しがちです。あんなにやさしかったのに、気をつかってくれたのに、今では……というわけです。さらに子どもが生まれれば、親という役割も加わって、生活はさらに慌ただしいものになっていきます。非日常的な時間を持ちたいと思っても、なかなかそうした時間を持てません。こうして多くの夫婦がお互いに失望していくわけです。

初心にかえり2人でこれからについて語り合う

解決するためには、まず恋愛と結婚は別と理解する必要があります。その意味では、これから結婚する人には、恋愛の相手としてはよくても、結婚ではどうかをよく考える必要があると伝えていく必要があります。

東北太郎さんのように、すでに結婚されている場合でも手遅れではありません。

2人でどのような生活をしていきたいのか話す時間を持つこと、そして、それを自宅や近所でするのではなく、恋人だった頃のようにちょっといいレストランなど、非日常的な空間ですることです。そうすれば恋人だった頃を思い出し、初心にかえってこれからの未来について語り合うことができるのではないでしょうか。

その際、子どもの面倒を見てもらうために、ご両親の力が必要になるかもしれません。2人の時間を定期的に持つことができれば、夫婦関係もよくなりますし、ご両親が隣に住んでくれていることをありがたく思えるようになるはずです。

食事の場所を探す前に、クローゼットを開けてみて外食に着ていけるような服があるか確かめましょう。仕事が忙しく、私生活で出かける機会がない男性がほとんどですから、見つからないかもしれません。

ああ、そういえば最近は妻に服やアクセサリーをプレゼントしてないな、なんていうことも思い出すかもしれないですね。今、手に持っているそのスマホで奥様へのプレゼントを調べてみてはいかがですか。

田中 俊之 大妻女子大学人間関係学部准教授

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たなか としゆき / Toshiyuki Tanaka

1975年生まれ。2008年博士号(社会学)取得。武蔵大学・学習院大学・東京女子大学等非常勤講師、武蔵大学社会学部助教、大正大学心理社会学部准教授を経て、2022年より現職。男性学の第一人者として、新聞、雑誌、ラジオ、ネットメディア等で活躍している。

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