ハンガリーでも痛手、“新興国の王者”スズキに山積みの地政学リスク

世界各地で襲うTSUNAMI

国内の生産調整では素早い動きを見せたスズキ。が、今、世界各地で地政学リスクに瀕している。「今の経済危機は津波。どかっと来るのは太平洋沿岸だが湾の入り込んでいるところにもじわじわ来る」という鈴木会長の説に倣うなら、今後の影響が心配されるのはスズキ自身だ。

まずは5割超のシェアを握るインド。11月販売台数は27%減と今年最大の下げ幅となった。インフレ抑制の高金利政策による耐久消費財需要の減少に加え、景気減速による不良債権増加を警戒した銀行による自動車ローンの引き締めは、マルチ800のような低価格車をラインナップするスズキにより大きく影響する。

政情不安に加え10月の地震に見舞われたパキスタンも、実はシェア5割を握る重要市場で「昨年度の利益は数十億円あった」(スズキ幹部)。

ハンガリーにも荒波は押し寄せる。92年に進出しスイフト、SX4、スプラッシュ等を生産、07年からは3組2交代制で年産30万台へ能力も増強。インド同様に“成功例のショーケース”といわれてきた。ところが欧州不況が直撃、12月中旬から2組2交代制に戻し、年産21万台まで能力を落とす。正社員5600人のうち約2割を解雇する予定だ。

米国も厳しい。低収益が続いてきたが07年1~3月期からは営業赤字に転落。今年に入り販社トップをすげ替え従業員も1割リストラ、4輪・2輪・管理の3カンパニー制を統合し事業部制にもしたが、今6~9月期でも赤字が続く。「自動車会社にとって米国は世界のサンプルだから、チャレンジする意義がある」と鈴木会長は言うが、日米欧印に南米、中近東、アフリカを合わせた4極3市場体制を今後も標榜し続けるべきか--。俊敏なスズキは、ここでも危機対応に先手を打つことになるのだろうか。

(週刊東洋経済)

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