日本車人気車種も崩落! ゼロ金利でも凍える北米自動車市場
原因は過剰消費の崩壊 ショールームは閑古鳥
米国の惨状を象徴するのがカリフォルニア州だ。トヨタはここで25%のシェア首位。2位GMの13%、3位ホンダの12%を引き離す。
このカリフォルニア州は目下、不動産不況の真っただ中にある。住宅価格は1年前に比べて、3割前後下落。銀行による物件の差し押さえ→売却も急増した。中でもサブプライムと呼ばれる信用力の低い低所得層が大きな打撃を被った。
かつてのサブプライム層の生活パターンを見ると、米国がどれだけ無理に消費を重ねていたかがわかる。
たとえば年収3万ドルの人間が家を買う際、住宅ローンで年収の10倍以上、40万ドルの物件を購入するのも珍しくはなかった。それでも担保となる住宅価格の上昇で借金できる余力が増え、それを基に新たにホーム・エクイティ・ローンを借りて、家具や自動車を買いあさる--。多かれ少なかれ、こうした過剰な借金で需要をどんどん先食いしていったのが、この国の実態だったのだ。
ところがバブルがはじけ、住宅市場は一挙に崩壊。所得も減少し、身の丈以上の借金が残った。返済するにしても、最初の3年程度は極端に低い返済金額で据え置かれる、「ステップアップ」型の住宅ローンを組んでいたから、今頃になって負担がより重くのしかかっている。
そもそも米国で新車販売がつまずいたのは、未曾有の原油高で大型車が敬遠されたのがきっかけ。しかし、今や不振は完全に小~中型車にも波及している。
小型車の比率が高く、傷が比較的浅かったはずのホンダも、苦戦は変わらない。夏まで供給が足りなかった「シビック」でさえ、11月は29・6%減、「アコード」は38・1%減だった。「今年は143万~144万台(6%減)くらいではないか」(米ホンダ幹部)。トヨタでも今年の米国販売について、当初計画の264万台(1%増)から、2度も下方修正。220万~230万台(12~16%減)に引き下げた。
むろん車が売れなくなれば、メーカーばかりでなく、販売の最前線にもシワ寄せは来る。ディーラーへの来客数は9月に4割強減となり、新車を見に来る客足はパタリと止まった。全米自動車ディーラー協会(NADA)によると、米国に2万0700店ほどあるディーラーのうち、今年中に最大で約900店が閉鎖されるという(07年は430店閉鎖)。