日本車人気車種も崩落! ゼロ金利でも凍える北米自動車市場

ビッグ3の代わりに金融リスクを増やす日本勢

「新車の営業マンは歩合制だし、学歴も関係なかった。特にカリフォルニアやネバダ、アリゾナ州へは、メキシコなどの中南米から、ヒスパニック系の移民が出稼ぎに来ていたよ。今、店は間接費を減らそうと、彼らをどんどん国に帰している」とはロサンゼルスのディーラー関係者の弁。

自動車産業が税収のトップを占めるカリフォルニア州では、今年度の大きな収入減が確定的だ。

状況は好転するどころか、むしろ、今年に入り、自動車ローンに絡む貸し渋りが広がっている。米国では日本と違い、車を買う場合、ローンが5~6割、リースが2割程度、残り2~3割が現金。ローンの焦げ付きが増加したせいで、GM系金融会社GMACをはじめ、ビッグ3のキャプティブ(自社系列)金融会社が審査基準を厳格化し始めたからだ。中でもサブプライム層ではこの1~9月、ローン審査を通過した人はわずか23%と、1年前の67%から激減した(下グラフ)。

「他の金融会社から借りていた人が借りられなくなり、ウチの米トヨタ・モーター・クレジット(TMCC)に回ってきているようだ」。伊地知隆彦・トヨタ専務はアナリスト向け第2四半期決算説明会で、米国での変調をそう指摘してみせた。実際、米調査会社によると、今年1~6月の自動車ローン・リースの貸手として、トヨタの金融子会社は長年トップのGMACを抜き、全米シェア首位に躍り出ている。言ってみれば、信用余力のなくなったビッグ3に代わって、トヨタが米国でリスクテイクをしている構図である。

焦げ付きを恐れて審査を厳しくすれば、販売が落ち込む。といって無理に販売すれば、後から貸し倒れのロスが増える。結局、自動車メーカーは減産に走らざるをえない。

トヨタは、すでに夏から減産を本格化し、1~10月累計の北米生産は124・6万台と、11・1%の減少。さらに大幅な操業ダウンに乗り出し、米国ミシシッピ工場の2011年以降への稼働延期など能力縮小に余念がない。

もっとも「生産調整するにしても最低で4~5カ月はかかる」(近藤広一・ホンダ副社長)。要は時間との闘いであり、減産を上回るスピードで販売減が続くかぎり、在庫拡大は必至だ。11月の在庫供給日数を見ると、ホンダで110日、日産では116日だった。いわばざっと4カ月近くは、クルマを造らなくても済む。適正水準は50~60日だから、いかに膨大な数値かがわかろう。

今年の米国市場は1300万台割れも視野に入った。ピークだった05年の1744万台はおろか、07年の1646万台からも300万台以上、減ることになる。日本市場の6割弱が1年間で消えた計算だ。焦点の09年についても「もし1150万台というような事態になればディーラー破綻がさらに増えることになる」(ブライアン・キャロリン北米日産副社長)。

「米国では工場や店頭の在庫も含め、まだ数百万台レベルがダブついているのではないか」。ある日本の自動車メーカー幹部は今からそう悲観している。ならばあと何年、減産すれば帳尻が合うのか。危機の根源である米国市場は視界の見えない、“危険水域”に突入している。


(週刊東洋経済)
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